Heroic Legend -間章の灰-
□第60話 追跡、幽霊列車!
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「今、管制室と連絡が取れました!
フォリアさんと一緒に来た方達のお陰で、無事に管制室を護りきれたそうです!」
風の音に負けないように、ノボリさんが声を張り上げた。
ボク以外は帽子を被っているので、飛ばされないように片手で押さえている。
「じゃあ、皆は無事なんですね?!」
風で髪を乱しながらボクも叫ぶ。
「デント君がちょっと怪我をしているけど、他の皆は掠り傷程度だってさ!」
クダリさんの言葉で、とりあえずホッと安堵した。
座席に座り直り、ジャルルの入ったボールを見る。
【後は、こっちの方を何とかせなアカンな】
ジャルルの言葉に小さく頷くと、今浮かんだ疑問を口にしてみる。
「…それにしても、何故あの人数がいたにも関わらず、管制室は無事だったんだ?」
「やっぱ気になるよな?」
ボクの持つ疑問に、ブラックが丁寧に答える。
「管制室はサブウェイの心臓や脳と言われる位に重要な場所だ。
だから、管制室に似た部屋がいくつもあって、侵入者の目を欺いたりしているんだ。
本当の管制室は厳重なセキュリティシステムもあるから、あんな黒星みたいな連中だったら簡単に見付けられないよ」
「…って言うのを、ノボリさん達に教えてもらったのよ。
あ、次の所を曲がって下さい!」
ホワイトがそう言うと、サブマスの二人に進路を指示する。
暗く、変わらない景色を走っている為、酷く時間がゆっくり経っているように感じる。
センターから持ってきたライブキャスターで時計を見ると、N達と別れてからまだ20分位しか経っていない筈なのに、2時間以上も経っているような気がする。
【…電気】
小さく呟いたバチュルが、ボールを揺らしてライブキャスターに興味を示す。
「お、おい…暴れるなよ…」
「バチュルは電気を食べるポケモンだ。
だからライブキャスターに反応したり、シビルドンの放つ大量の電気に感激していたんだよ」
バチュルを落ち着かせようと、ボールを見て慌てるブラックにそう説明する。
「やっぱりか…。コイツ、食いしん坊なんだよ。
以前、管制室の電気を食ったせいで、地下鉄を停電させた前科があるんだ」
【えへへ…】
ようやく大人しくなったバチュルは頭を掻いて笑う。
何とも可愛らしい姿だ。
「成る程…大食漢だね、キミのバチュルは。
…電気?」
ふと、この単語が頭に残った。
…何だろう、何かが頭に引っ掛かる。