Heroic Legend -間章の灰-

□第59話 サブウェイマスター
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「バッチリですよ!
…あの幽霊列車、黒い星のマークがペイントされていました。
黒星団の物で間違いは無いみたいですよ」

「うん、流石はホワイトだ。
あんなに真っ暗な地下鉄内で、よく見付けたね。
凄い視力だよ!」

「当然ですよ、これくらい!
…それから、彼女が連れてきた助っ人です。
どうやら、ポケモンセンターから通じているダクトから来たみたいなんですよね」

ホワイトがボクの肩を掴み、二人の男性の前に突き出すように押す。

「え、ポケモンセンターから?」

「はい」

「大丈夫? 怪我してるじゃないか」

彼はそう言いながら、ボクの左顔面を覆う包帯を指差す。

「平気です。
そもそもボクの行動がこんな事態を招いたようなものですから、自分の不始末は自分でつけなければいけません。
…それに……」

俯いていた顔を上げ、決意の表情で全員を見る。


「…家族でもある、大切な仲間(ポケモン)が待っているかもしれないんです。
こんな怪我、構う暇なんてありません…!」


「成る程……決意は固い、ようですね…」

黒い車掌服の男性が呟き、線路を指差した。
そこにあったのは、屋根の無い車体に謎めいたモーターが搭載された、よく分からない乗り物だった。

「ご覧の通り、既に発車の準備が整ってます。
これは緊急連絡等に使用する緊急車両なので、スピードは普通の列車と同等な位ですよ」

「今は、管制室の予備電源で列車の現在位置を特定中だから、ホワイトが幽霊列車を見たって所に行ってみようか」

すると、ここで二人がボクの方を向いて言う。


「申し遅れましたが、時間が圧しているので軽めに自己紹介を。
私(わたくし)はノボリ。ここのサブウェイマスターをやらせていただいております」

黒い車掌服の男性の次に、白い車掌服の男性も挨拶する。

「僕はクダリ。兄さんのノボリと一緒にサブマスしてるんだ。
よろしく……えと…」

白い車掌服の男性…クダリさんがボクを見て少し唸る。
このパターンはホワイトの時と同じなので、あまり深く考えずに済んだ。

「ボクはフォリアです。アーティさんやカミツレさんから何か聞いていませんか?」

「あぁ、防衛戦に参加していたトレーナーが助っ人とは、なかなか心強いですね。
ジムリーダーからの連絡では『黒っぽい服を着たトレーナーがいるが、敵ではない』…と聞いていただけですので」
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