Heroic Legend -間章の灰-

□第59話 サブウェイマスター
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「こっちだ」

階段を上ると、先程戦闘が行われていた場所と似たような場所に出た。

唯一相違点があるとすれば、ボク達以外に人がいない事だけ。

人気の無い通路をブラックが先導して早めの速度で歩き、暫くはそれに付いて行く。


「…ねー、何処に行くのよー…?」

黙ったままのブラックに痺れを切らしたのか、ホワイトが駄々を言うように尋ねる。

「もう着いたって…」

ブラックはそう言いながら、通路の脇にある部屋の一つを親指で指した。


一見すると何の変哲も無いような部屋に入ると、すぐそこにはまた階段があった。

「こっちだ」

ブラックは急ぎ足で階段を駆け下りる。
ホワイトとボクもそれに続いて階段を下りた。




階段を下りた先は停電だというのに、薄い明かりが灯っていた。

そして、鉄の独特な匂いで再び地下鉄内に来た事が分かる。


「連れてきましたよ。強そうな助っ人も一緒です」

ブラックは、前方にいる二人の人影に近付きながら話し掛ける。
人影もまた彼に近付きつつ、一人がやや低めの声で言った。

「有り難うございます、ブラック。
ホワイトを見付けるのは、さぞかし大変でしたでしょう」

「まぁ、いつもの事ですから。
殆ど直感とバチュルがいなきゃ、絶対見付けられなかったです」

ブラックは自分のボールから黄色の体を持つ、手の平程の大きさのポケモンを出して言った。


「成る程、幽霊列車は内部電源で動いている事を予想してのバチュルですか…。
考えましたね」

「これで、幽霊列車は実体を持っている…って事も証明できたね。
お手柄だよ、ブラック」

もう一人の人影が言葉を放つ。

薄暗い明かりに照らされて現れたのは、何とも対照的な色の格好をした男性達だった。


堅苦しい感じで話す人は全体的に黒い車掌のような服装で、灰色の髪と目を持った顔も無表情に近い。

もう一人の幼いような口調で話す男性は、堅苦しい男性と同じような髪と目を持つが、対照的な白の車掌の格好でニコニコと笑顔を浮かべている。


「ちょっと、私の事も誉めて下さいよ。
頑張って幽霊列車を追い掛けたんですから」

二人の男性に誉められるブラックを見ながら、ホワイトが膨れっ面で文句を言う。


「はいはい、そう妬かないでよホワイト。
…で、それだけ自己申告するんなら、何か成果があるんだよね?」

白い服の男性がそう尋ねると、ホワイトは自信満々と答えた。
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