Heroic Legend -間章の灰-

□第58話 不審列車
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※フォリア視点



「おぶぅぅぅっ!」


まるで滑り台のようなダクトを下り、出口から勢い良く飛び出す。

その先に待っていた砂利(しかも小石レベル)がぎっしりと敷き詰められた地面に、盛大な顔面ダイブを決めてしまった。

「…い…痛い…」

怪我をしている為、顔面へのダメージが更に酷い。

痛みで起き上がれずにうずくまっていると、後方から嫌な音が聞こえる。
…と同時に体が地面にめり込んだ。

【おま…何でまだ立ち上がってないんだよ!】

ゾロアークがボクの上にのし掛かりながら怒鳴る。
その時、再びボクの体が地面にめり込む深さが増した。

「あい…たたた…」

上で声がしたと思ったら、また体に乗る重みが増す。

「え、Nさん…。まだ30秒経ってないじゃないですかぁ…」

「だって、ポケモン達が心配だったから」

ゾロアークの上に乗るデントが死にそうな声を出す。
Nはしれっとした様子で答える。




「……どうでもいいけどさ…、早くどいてよ…。
死ぬ…冗談抜き…マジで……」


デントよりも瀕死に近い声で、ボクは『のしいか』のような状態で言ったら、全員は申し訳無さそうにボクの上からどいてくれた。


「大丈夫…ですか?」

「んな訳あるか。傷開いたわ」

血の滲んだ包帯をライトで照らしながら、不機嫌そうに言う。

【ま、お前の場合ならすぐ再生するんだろ?
そんな大怪我、普通の人間ならすぐに治るモンじゃねーしな】

「人をスライムのように言うな」

ゾロアークと睨み合いながら言っていると、デントがキョトン…としたような表情でボクを見た。


「フォリアさん、もしかして……ポケモンと…」

「あぁ。まぁ、隠す必要も無いし…これからこういうのを何回も見ると思うから、あらかじめ言っておくよ」

デントに自分の能力を手短に話すと、彼は感心と驚きの入り混じった溜め息を吐く。
しかし、その表情にはボクを軽蔑したり畏怖したりする様子が見られないので、正直ホッとした。

「…一風変わった人だとは思っていましたが、そんな不思議な能力を持っていたとは…」

「よく言われる」

「あ、すみません。僕…気に障るような事を…」

「いや、気にしなくていい。
これは褒め言葉として受け取っておくよ。
そんなつもりで言ったんじゃない事くらい…表情で大体分かるからさ」

ボクがそう言うと、デントも安心したように頷いた。
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