Heroic Legend -間章の灰-

□第56話 闇に紛れて…
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「――――――という訳なんだ」

ライモンシティに戻ってからすぐにボク達は、警察トリオを呼んで会議を行っていた。

「…おいおい、よりにもよってこんな日にかよ…」

「"こんな日"だからこそ、奴らにとっては絶好の仕事日和なんだろうね」

溜め息をつくヒョウガの横で、ネクが冷静に指摘をする。

「どうするのな? ミュージカルを中止させるのか?」

「…それじゃ今まで練習してきた事や、公演を楽しみにしている人にも迷惑を掛ける。
それに、時間も無いし…」

ネクが言った言葉を聞いて、些か安心しているかに見えるクロード。
彼のポケモン達は皆出演しているのもあるから、彼らをガッカリさせたくなかったのだろう。

「…まぁ、もしもの時の為、強力な助っ人になってくれそうな人達にも頼むか…」

ヒョウガはコートのポケットからポケギアを取り出した。
慣れた手付きで何処かに電話を掛け始める。

「…あぁ、もしもし。ヒョウガです。
もうライモンに着きましたか? はい…はい…。
早速なんですが重要な話があるので、カミツレさんも連れてきて下さい。
はい、では…」

ピ…。

「カミツレさん…? ヒョウガ、一体誰に電話を掛けたんだ?」

いきなりジムリーダーの名前が出てきたので、気になったボクはヒョウガに尋ねる。

「まぁ、来れば分かる」

ヒョウガはそれだけ言うと、ポケギアをポケットにしまった。









†.


「やぁ、ヒョウガ君。待たせたね」

「いえ、構いませんよ。人手は多い方が助かりますから」

30分後、待ち合わせ場所に指定していたポケモンセンターの一室に、その人達はやってきた。

人通りの少なく、作戦会議には持ってこいの部屋で、ヒョウガは最初に入ってきた人物を迎え入れる。


天然パーマの茶髪、穏やかな顔付きに緑色の目。
独特のぴっちりファッションで登場した青年には、ボクも見覚えがある人物だった。


「ア、アーティさん?!」

「んぅん? キミ、何処かで会ったかい?」

まぁ、アーティさんが分からないのも仕方無い。

「フォリアです。お久し振りです」

「あぁ、フォリアちゃん? 随分見た目が変わってるけど、成る程ね…。
雰囲気も大分変わってるから、分からなかったよ」

「まぁ、色々ありましたから…」

アーティさんはそれ以上何も聞かず、部屋の入り口にいる人物達に声を掛ける。

「皆、早くおいでよ」
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