Heroic Legend -間章の灰-

□第55話 似ている二人
2ページ/3ページ

【…ま、オレはお前の事は嫌いじゃねーぞ。
……世間様で言う"普通"から外れているお前は、Nと似ているからな】

「似ている? ボクとNって、そんなに似ているのか?」

【あぁ、アイツ程じゃねぇが…人間とあまり関わろうとしない点とか、その他諸々…な】

「まぁ、人よりもポケモンと話している方が多かったしね…」

Nが戻ってきたと殆ど同じタイミングで、ジャルルとブリッツも帰ってきた。
心無しか、二匹が怒っているように見えるのは、気のせいでは無いと思う。

【あんのガキンチョぉぉ…】

【まんまと逃げられたようだな。ざまぁwww】

ゾロアークは火に油を注ぐように、ジャルルを笑う。

【じゃかぁしぃっ! あのガキ…今度会ったらタダ済まさへんからな…!】

【ま、アイツは一番の悪戯好きのやんちゃ坊主だ。
アイツはアルの言う事しか聞かねぇからな】

「…アルって、まさか…あのゾロアークの事?」

ボクの質問に、ゾロアークはサラリと肯定する。

【おう。あのチビで泣き虫だったアイツが、今は群れを率いるリーダーとは…。
オレとの約束を大事にしててくれていたんだな…】

「キミの事が大好きだったから、約束を守るんだよ。
誤解でエンテイ達と戦った時だって、キミとの約束と仲間を守る為に必死で戦っていた…」

【…】

ゾロアークは唸りながら皆から顔を背けたが、満更でもないような様子で頭を掻いていた。





「…フォリア、ボクもライモンに残るよ」

「え、どういう風の吹き回し?」

突然の滞在宣言をするNに対し、ボクは若干驚きながら尋ねる。
チャンピオンを倒す目的がある彼が、ジム戦を後回しにするなんて珍しい。

…余程の事があるに違いないんだ。

…余程の…事?


ふと、自分の中で組み上がった答えを、再びNに尋ねる。


「……黒星が、ライモンに?」

「可能性は高いね」

キッパリと言い切るN。

「今夜は人が多い。人混みに紛れて行動を起こすには絶好の機会だと思うよ…」

「…」

確かに…ここ最近頻発しているポケモン誘拐事件は、決まってライモンシティだ。
ミュージカルを観に来る人間に紛れて行動すれば、市民の目を欺ける。

奴らは…恐らくそこを狙って、何かをするつもりなんだ。



「…N」

「…?」

「キミとボクが仮にも敵対関係にある事は分かっている。
…けど、このまま黒星の連中を野放しにしたら、何が起こるか分からない」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ