Heroic Legend -間章の灰-
□第51話 類は友を呼ぶ…?
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あんなに大きいキャンピングカーに、女性がたった一人。
怪しさを感じたが、とりあえずセンターに戻るのが先決だと判断し、ボクは女性に声を掛ける事にした。
「あのー…」
「…」
女性は黙ったまま、ボクをジッと見つめている。
「すみません…」
「…」
「もしもーし…?」
「…」
女性の顔の前でヒラヒラと手を振ったり、横に移動したりするが、彼女は依然としてボクの目を見つめたままだ。
しかも無表情に見つめているので、だんだん不気味さが増してきた。
【あの人…喋れないのかな?】
ブリッツがポツリと呟く。
「え…、マジですか…」
【…って、何寸止めパンチしとるんや!】
「いや、目を開けたまま寝てるのかと思って…」
【アホ! ちゃんと起きとるやないかっ! 目だってちゃんとアンタを追い掛けとるし】
ジャルルにそうは言われたものの、目以外は全く動かない女性に話を聞かなきゃ、ここが何処だかさっぱり分からないままになる。
「あの、"YES"でも"NO"でも"kill you"でもいいんで、何か喋って下さい。
もしくはジェスチャーでも構いませんので…」
【kill you(訳.お前を殺す)とか、殺されたいんかアンタ…】
冗談でそんな事を言っていたら、ブリッツが何かを感じたらしく、ボク達に声を掛けた。
【フォリア】
「何だい?」
【…何か、誰かに見られてるような気がする…】
【何言うとるんやブリッツ。そんなんいる訳…】
と、ジャルルが言いかけたところで、彼女もその"何か"に気付く。
【……いや、おるな。
…何かヤバいモンの視線を感じるで…】
「…よく、分からない…」
ボクだけはいまいちよく分からなくて、辺りを見回す。
いや…正確に言えば、ボク達に向けられる視線が沢山あり過ぎて、どれを指して言っているのかが分からないのだ。
周囲に感じられるギャラリーのような緩い視線。
そして、その中に紛れるように移動する、いくつかの強い視線を感じる。
それを頭上で捉えた時に、ボク達はすかさず上を見た。
【な…何やアレ…!?】
【ポケモン…なのか?】
「…あのポケモンは…!」
この空き地を囲むように存在する崖。
その上に、三体の四つ脚を持つポケモンが悠然と立っていた。
ボクは図鑑を取り出して、彼らに向ける。