Heroic Legend -間章の灰-

□第49話 その使命を胸に
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【フォリア、ウチクレープ食べたいんやけど】

【オイラも】

【ボクも食べたいです…】

「そうだね。ずっと力仕事とかしてたから、たまには甘い物も良いかもしれない…」

出店の看板と甘い匂いを辿りながら、クレープの店でジャルルとブリッツをボールから出した。
それぞれの好みのクレープを買った後、近くのベンチに座ってそれを食べ始める。

【…何や、腕が使えへんと不便やなぁ…】

とかぼやきながら、ジャルルは器用に首から出した蔓でクレープを食べている。
進化したのにも関わらず、腕が退化してしまったせいだ。
現在の腕は、丁度背中辺りの位置にある。

ブリッツも進化して腕が逞しくなったせいか、慎重そうに爪でクレープをつまみながら食べていた。

アックスはニコニコとクレープを頬張っている。

【アックス、美味しい?】

難なくクレープを食べるアックスを少し羨ましげに見ながら、ブリッツはそう尋ねる。

【はい、こんなに甘い物…初めてです!】

洞穴暮らしが長かったせいか、アックスは見るもの食べるもの全てに興味津々だ。
故に、常にボクの肩に乗っかっていて、あちこちを見て回るのが気に入っている。


「…よし、じゃあ今度は観覧車に乗ろうか?」

クレープを食べ終え、遊園地の方角を見ながらボクは言った。

【ちょお待ちぃや。アレ…確か二人乗りじゃないと乗れないんちゃうか?】

ジャルルは呆れながら指摘する。
…そう、この遊園地の観覧車は大人気だが、何故か二人じゃないと乗れないという…意味不明のルールがある。
ポケモンが一緒でも、人数にカウントされない。

「…そこなんだよね、問題点は」

【どうするんや?】

「……そうだね…」

しばらく唸りながら考える。
そして、その後に出した答えは―――――、




「――――ま、誰か適当に知り合いでも捕まえられたら良い方だね。
それが駄目だったら、コレ(ライブキャスター)で呼び出す」

【…完全に余所様に迷惑掛けとるやん】

「しょうがないよ。他の皆はリハーサルで忙しいんだしさ…。
ヤイバ達もやる気満々で指導を受けているし…」

【まぁ、そこら辺の暇人がいれば、観覧車に乗る…って事だよね】

「そういう事」

ボクとブリッツが頷き合っている横で、ジャルルは呆れ顔で溜め息をついていた。
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