Heroic Legend -間章の灰-

□第48話 Schein Leere
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「おい、ネク。ここ…」

「やっべぇ…あのリング、俺の可愛いシャンデラにプレゼントしなきゃな…」

「……"また"か…」

ヒョウガが溜め息をつく。

「"また"って…?」

気になって質問すると、ヒョウガは横目でネクを見ながら答えた。


「…アイツ、元コーディネーターだかなんかでさ。
あぁやって、フラリとこういった店に行ってしまう悪癖があるんだ」

「コーディネーター…だったんだ…」

コーディネーターとは、ポケモンコンテストという大会でポケモンをドレスアップしたり、魅せる技を編み出したりする人の事を言う。

トレーナーが"力や能力"なら、コーディネーターは"見た目や技"を専門にしている、と言った方が早い。

残念な事にイッシュにはコンテストは無いが、他の地方に行く事があれば見てみたい。


目を輝かせながらショーウィンドウの商品を見るネク。
コーディネーターを辞めても、そういった事が好きなのには変わりないらしい。

何故、彼が警察の道に進んだかは気になったが、あえて聞かない事にしておいた。


「おーいネク。後にしろよー…って、聞いてないし…」

「ボクは構わないよ。寒くないから」

「そうは言ってもなぁ…」

ヒョウガが困惑したように項垂れる。
クロードはというと…ボールが壊れ、外に出たままのガルダと遊んでいた。
…というか、逆につつかれて遊ばれているといった感じだ。

このまま…のんびり気長に待とうかと考えながら、座れるような段差を探そうとしていた時。






「―――――あんた達、私の店の前で何を騒いでるの?」

聞き覚えのあるような声が聞こえたので、ボクは後方を振り返る。
そこに立っていたのは、オレンジ色の髪にピンクのカーディガンを羽織った少女。
胸には茶色の買い物袋を抱えている。

その横には、二人の男女も同じように買い物袋を抱えて立っていた。

「キミが、この店のオーナー?」

突然の少女達の登場に関わらず、ネクはそう尋ねる。

「そう…ですが、何かお求めの品でもありましたか?」

ネクを客と思ったのか、オレンジ髪の少女が畏(かしこ)まった態度に変わる。
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