Heroic Legend -間章の灰-
□第47話 "思索の原"の試練
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「なぁ、フォリア」
「何?」
「ここ、道が無いのな」
「でも、確かにこの向こうから聞こえるんだ」
‐ 一時間前 ‐
カノコを旅立ったボク達は、休憩の為にシッポウへと立ち寄った。
そのついでに博物館にも立ち寄ると、中はすっかり片付き…以前の開館時と変わらない落ち着きを取り戻していた。
アロエさんの話を聞くと、ライカとシアンは博物館の片付けを終わらせた後、一緒にシッポウを立ち去ったらしい。
アロエさんに勝つために、ポケモンを鍛えようと修行に行ったのだと言う。
何はともあれ…この短期間で再会したら、また喧嘩沙汰になったり気まずくなったりするので、ボクは内心安心していた。
そして、たっぷりと休憩時間を取った後にいざ出発…となった所で、ボクは異変を感じた。
「…呼んでる」
凛々しい女性のような"声"が、ボクの脳内へと届いたのだ。
しかも、しきりにボクの事を呼んでいる。
確かめる為に出発を遅らせてもらい、ボクは声のする方向に向かって歩き始めた。
単独行動はマズいので、三人も必然的に付いて来る。
そうやって"声"を辿って行き、ボク達は今…ヤグルマの森へとやってきていた。
そして、今に至る。
"声"はポケモンと同じ様に、脳内に直接的に来る。
もしかしたら、ボクを呼んでいるのはポケモンかもしれない。
けど、超能力者じゃあるまいし、どうやったら遠距離にいるボクに呼び掛けられるんだ…?
ポケモンの声を聞くにも"限度"というものがある。
普通の人間と話すように、近くにいれば声はハッキリと聞き取れるし、遠くにいれば聞こえる訳が無い。
エスパータイプのテレパシーか、はたまた特殊なポケモンの力なのか…。
どちらにせよ、この"声"を辿らなければ、その正体を掴む事はできない。
「……近い。こっちだ」
そう言って、ボクは橋のすぐの脇道へと進んでいく。
前回来た時には、人がいて通れなかった場所だ。