Heroic Legend -間章の灰-
□第46話 正体
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「…でさ、あの後二時間説教食らったんだよ」
「……何か、怒られてばかりだね…」
あの日から熱心にリハビリを続け、予定よりも遥かに経過が良くなった。
今じゃ飛んだり跳ねたり、宙返りだってできる。
そして、退院する日が決まってからは有頂天になって騒いだり、魔王・看護師に説教を食らったりという日々を過ごしていた。
今日は久し振りに暖かい日で、太陽が顔を覗かせている。
ナツノの『外に行ってスケッチをしたい』という提案から、ボク達は今…中庭に来ていた。
「――――やっぱり、外は気持ち良いなぁ…」
「だよね…。僕も…外は好きだよ……。
いつも、本ばかり読んでるから…たまには息抜きに…ね」
「あ、リポ○タンD飲む?」
「何で…いきなり話題変えるんだい…?
それに、僕の病室に来る度に……冷蔵庫に勝手に入れていくじゃないか…リポビタ○D…」
サラサラと素描きをしていくナツノは、横目でそうツッコむ。
相変わらず絵は上手いが、あまり絵を見つめていると恥ずかしがって、サッと隠してしまう。
こんなに上手いのに、恥ずかしがる事は無いと思う。
ボクがプラズマ団員を描いた時の絵と比べると、月とスッポン並みだ。
(上巻・34話参照)
「ナツノは、将来芸術家になるの?」
「え…? うーん…」
ナツノはしばらく悩むような仕草をした後、自信無さげに答えた。
「まぁ…絵を描く仕事に…就きたいけど……僕の絵…まだまだだから…」
「十分上手だと思うんだけどな…」
【まぁ、フォリアのあの絵よりはねwww】
ランプルが思い出したように、クックッと笑いながら言う。
他のメンバーも彼女につられて笑っていた。
「絵を描くのは…好き。けど、本当にその仕事に就きたいのか……分からない。
いつも…悩むんだよね…」
ナツノは作業をしながら苦笑する。
ボクだって、将来何をしたいのか…皆目見当もつかない。
その不安は誰にでもあるものだ。