Heroic Legend -間章の灰-

□第45話 痛みと和解
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ボクはしばらくポカンとしていたが、一言だけ呟いた。

「……何か、話が壮大過ぎて…ついていけない」

「…"イッシュ建国伝説"は知ってるよね?」

コクン、と頷く。

その話なら昔父さんに聞いたから、何となく分かる。

が、当時はまだ5歳。
話は冒頭の部分しか分からない。

「イッシュ国は最初のイッシュ地方だって事と、三代目で滅んだ事しか知らないけどね…」

説明を求めるように話すと、Nは淡々と語り出した。


「全体的になるとあまりにも長いから、要約して話すよ。
…フォリアが言っていた部分は合っている。
かつてイッシュ国は、このイッシュ地方全土に渡る大国だった」

ボクは傍に座っていたキバゴを膝の上に乗せてから、話に耳を傾けた。


「イッシュ国は初代国王と伝説の竜の魔獣…ドラゴンポケモンと共に建国し、やがてその役目を双子の王子に託した。
その伝説のポケモンと一緒にね…」

Nは寄り掛かっていた壁際から離れ、病室の奥にある窓の傍へと移動する。

「国王が亡くなると、双子は国の未来を案じ…やがれそこから意見が別れ、互いに争う事となってしまった。
『真実』を求める兄と『理想』を求める弟。
ドラゴンは自らの身体を二つに分け、それぞれの味方をして双子に付いた」

…まただ。

また『真実』と『理想』と言う言葉。

何故か…無関係ではないと思ってしまう。

ボクが唸っている間に、Nはドラゴンの名前を挙げる。


『真実』を求める兄に味方した白き竜、レシラム。

『理想』を求める弟に味方した黒き竜、ゼクロム。


どちらも、初めて聞く名前なのに……何故かそんな感じがしない。


「戦いに決着はつかず…状況が激化する中、双子はようやく争いを止めた。
あれから数十年の時が経ち、平和になったイッシュ国で三代目国王となる双子の王子達が、再び争いを始めた。
そして……」

ここでNは一呼吸置き、話の結末を言った。






「人間の愚かな行為に怒り狂った二体のドラゴンにより、イッシュ国は炎と雷に包まれて消滅した。
そして、イッシュ国を滅ぼした後、レシラムとゼクロムは何処かへと飛び去って行った」
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