Heroic Legend -間章の灰-
□第43話 もう一人のボク
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目の前には、ボクと同じ顔。
髪型だけではなく、声も体型も…何から何まで瓜二つだ。
だけど、その目だけは金色に輝いている。
ソイツが憎しみに顔を歪ませれば、どんどん息苦しくなっていく。
ボクの首が締まっていく度にソイツが口にする言葉。
《消えろ…消えろ…消えろ……消えろ…!》
まるで、この時を待っていたような…そんな言い方。
(ボクは…そんなに邪魔な存在なのか…?)
《あぁ、お前はオレにとっては邪魔なんだよ》
声も出していないのに、どうやらソイツはボクの思っていた事を読んだらしい。
《お前だけが表で光を浴び、オレは裏で闇の鎖に繋がれる…。これを憎まずにいられるかよ…?》
(意味……分からない…)
体中が酸素不足で悲鳴を上げ、思考する力も失せてきた。
《苦しいだろ?》
締める力をますます強め、ソイツは問い掛けてくる。
《オレはこれ以上の苦しみを何度も何度も味わってきたんだ。
お前も…オレと同じ思いをしながら、消えてしまえっ!》
無抵抗のまま、首が折れるんじゃないかと思う位までに強い力で締められる。
意識が遠退いていく感覚がリアルに長く感じられる。
でも、不思議と苦しくはない。
全てが真っ黒になる前に見えたのは、揺らめきながら輝く金色の光だった。
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「フォリア」
突然名前を呼ばれ、ボクはゆっくりと目を開いた。
「…」
身体を起こしながら辺りを見ると、見覚えのある光景が広がっていた。
白と黒のチェス盤のような床。
周りは夜よりも暗い、漆黒の闇夜のような色。
…何処だっけ?