Heroic Legend -間章の灰-

□第43話 もう一人のボク
2ページ/14ページ

目の前には、ボクと同じ顔。

髪型だけではなく、声も体型も…何から何まで瓜二つだ。


だけど、その目だけは金色に輝いている。

ソイツが憎しみに顔を歪ませれば、どんどん息苦しくなっていく。

ボクの首が締まっていく度にソイツが口にする言葉。


《消えろ…消えろ…消えろ……消えろ…!》

まるで、この時を待っていたような…そんな言い方。


(ボクは…そんなに邪魔な存在なのか…?)

《あぁ、お前はオレにとっては邪魔なんだよ》

声も出していないのに、どうやらソイツはボクの思っていた事を読んだらしい。

《お前だけが表で光を浴び、オレは裏で闇の鎖に繋がれる…。これを憎まずにいられるかよ…?》

(意味……分からない…)

体中が酸素不足で悲鳴を上げ、思考する力も失せてきた。

《苦しいだろ?》

締める力をますます強め、ソイツは問い掛けてくる。


《オレはこれ以上の苦しみを何度も何度も味わってきたんだ。
お前も…オレと同じ思いをしながら、消えてしまえっ!》

無抵抗のまま、首が折れるんじゃないかと思う位までに強い力で締められる。


意識が遠退いていく感覚がリアルに長く感じられる。

でも、不思議と苦しくはない。


全てが真っ黒になる前に見えたのは、揺らめきながら輝く金色の光だった。
















―――――――――――――




「フォリア」

突然名前を呼ばれ、ボクはゆっくりと目を開いた。

「…」

身体を起こしながら辺りを見ると、見覚えのある光景が広がっていた。

白と黒のチェス盤のような床。

周りは夜よりも暗い、漆黒の闇夜のような色。



…何処だっけ?
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ