Heroic Legend -間章の灰-

□第41話 歪んだもう一人
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小柄な少年と長身で銀髪の青年は、こう見えても同い年。

山葡萄の様な目の色を持つ少年(青年)…ネクは、ジッとプラズマ団を見つめている。

反対に銀髪の青年…ヒョウガは、まだ状況を観察しながらボールを構えていた。



「…あなた…! ウチの娘に何しているの…っ!」

凄まじい剣幕でゲーチスを睨み付ける母さん。

ここに来る時に乗ってきたウォーグルも、既に戦闘態勢に入っている。


「フフフ…。彼女の特別な能力(チカラ)で、苦しみに悶える彼等の声を聴いてもらっていただけですよ。
ほら…、こんな風に」

「うっ…く…ぁあぁぁぁぁっ!!」

再び機械がいじられれば、先程よりも数倍の苦痛が襲い掛かってくる。

耐えきれずに、悲鳴を上げる。


『止めてぇぇっ!!』

母さんとベルが同時に叫ぶ。


「…ゲーチス様、これ以上負担が重なれば被験者の精神だけではなく、生命活動にも甚大な被害が……っ!」

ゲーチスの脇にいた、研究員らしき白衣の男でさえも、流石に顔色を悪くしている。

しかし、ゲーチスはにこやかに答えた。


「…いえ、彼女には人ならざる能力さえも宿っています。
例え精神が壊れようとも、生命活動には何ら影響はありません」

そして…、ボクを一瞥して一言。








「―――彼女は、化け物なのですから」

「…!」

その一言だけが、ボクの耳にハッキリと届いた。


―――化け物、それ…久し振りに聞いたな…。

呑気にそんな事さえ考えられる程、痛みに対する感覚が麻痺しているのか?



…ボクは……こんな奴にまで、化け物扱いされた。




―――どうしよう。

頭が割れそうだ。

いや、もう割れているんじゃないのか…?


でも、まだ生きてる。

当たり前か。










「……ダってボクは、化け物ナンだよネ…?」
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