Heroic Legend -間章の灰-

□第38話 失意と拒絶
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※フォリア(15歳)視点







【フォリア!】


パートナーの声と共に、目が覚めた。

ボクの表情はボーっとしているんだと思う。

瞼がやけに重いから。


「…」

上体をゆっくりと起こしながら、ボクを見る小さな家族達の顔を見回す。

「…起きるまで、ここに?」

【せや。する事っちゅうたら、待つ事位やからな】

「…そっか…」


【目が覚めたか? フォリア】

コバルオンがいつの間にか横にいる。


【…思い出せたか?】

何も言わないボクに対し、彼は再度質問する。

「…」

コクリ、と静かに頷く。




思い出した事について、今更否定なんて事はしない。

むしろ、変に納得さえしている。


トウヤ……いや、あの少年はボクの弟などではなかった。

元からボクの中の何処かに存在していたんだろう…。



でも、そんな事は最早どうだっていい。

ボクがこれから知る事はいくつかある。
今は、それが最優先事項だ。



「…コバルオン」

【何だ?】

『彼』の行方を知りたい。

その質問を、今尋ねるんだ。


「……10年前、この洞穴に片腕と片方の牙を無くした、隻眼のオノノクスが来なかった?」

【…っ!】

この質問に驚いたのは、何故か案内役のキバゴだった。

当のコバルオンは驚きもせずに、記憶を辿るような顔をしている。



【うむ、確かに10年前……この洞穴に風変わりなオノノクスがやって来た。
私は、あの時…人間に迫害されてやって来たのかと尋ねたら、奴は何て言ったと思う?】

「…分からない、ボクはそれが知りたいんだ。
意識がハッキリと定まっていないし、よく分からなかったけど…アイツは……、アックスはボクを助けてくれた。
彼にもう一度会いたい。
会って、謝って、お礼を言いたいんだ…」
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