Heroic Legend -間章の灰-

□第36話 記憶の部屋
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―――――――ここは、何処だ…?

黒い背景は果てしなく続き、歩いても歩いても何も変わらない。


コバルオンに何かをされ、気が付いたらこんな妙な空間に一人、ポツンと佇んでいた。

床が白と黒のチェス版のような模様な事以外、周りは黒一色の世界。



…怖くは無い。

しかし、見知らぬ場所なのに、何故か落ち着いてしまう。


(コバルオン…詳しく聞いてなかったけど、どうしてボクが記憶を取り戻したがっているのを知っていたんだ…?)


コツコツとチェス版もどきな床の上を歩いていると、やがて一つの灯りが見えてきた。

いかにも、迷ったら一つの光を頼りに進んだら出口に出ますよー…と典型的な感じにも思えてしまう。


しかし、ボクがそれを頼りにその方向へと進んだら――――…






「……何だコレ?」


ポツン、と小さなランタンが浮いているだけ。

…本当、何だコレ?

興味本位で、軽くそれに触れてみる。


カタカタ…!


「うわっ…」

小刻みに震えだしたランタンはそのまま一つのドアへ、グニャリと形を変えた。


これまた興味本位でドアを開け、ボクの目の前に現れたのは先程の黒い背景とチェス版もどきの床…。

そして――――…、





















「―――――やっぱり、ここまで来ると思っていたぜ…、フォリア」

「トウ…ヤ?」

腰まで届く黒髪のポニーテール、好戦的に笑う赤い目。

ボクとそっくりな『彼』がそこにいた。



「フッ…嬉しいねぇ…、まだオレを『その名前』で呼んでくれるなんてな…」

嬉しそうに喉の奥でクックッと笑うトウヤ。

ボクに似たような見た目だけど、目の色の他に顔付きも違うし髪型も少しだけ違う。

黒いハイネックの長袖に黒いスラックスと言う服装もあるが、声変わりした低い声で男の子だという事が分かった。
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