Heroic Legend -間章の灰-
□第35話 Nの迷い
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【ふーん……暇だ】
「しょうがないよ、それに……待つ理由はもう一つ…」
ボクがそう呟いたその時、一人の団員が書類を持ってボクの所まで来た。
「N様、望まれていた資料が調査員から届きました」
「うん、ありがとう」
ボクがそれを受け取ると、団員は一礼して下がって行った。
「…」
パラリと資料をめくる。
【ん…?これって、あのフォリアっていうトレーナーじゃないか】
トモダチが資料にあった写真を見て呟く。
「そうだよ。彼女…少し不思議な雰囲気に変わる事があって…、その時の彼女が自分を『トウヤ』って名乗ったから、気になってね…
…それに、その名前に聞き覚えがあったような気がするんだ。だから、調査員に頼んで調べて貰ったんだよ」
【へぇ…、色々書いてあるけど…オレ、人間の字は読めないからなぁ……】
トモダチがガクリと項垂れ…その頭を撫でながら、ボクは資料に目を通す。
外見、年齢、生年月日……家族は母親が一人。
(母親って、何だろう…?)
そう思いながらも、経歴を読んでいた。
今までの旅の経歴までしっかりと載っている。現在はバッジが4つ…、半分まで来たのか。
ふと、過去の経歴のあるページで手が止まる。それを読み進めていく内に、衝撃の真実を目の当たりにした。
「…ふぅん、そういう事か…」
それを読み、ボクは静かに頷いた。
…これだ。
やっと分かったよ。
胸のつっかえが少し取れた気がした。
フォリア…キミは"とんでもないもの"を持っているんだね…。
…やっぱり、キミとボクは戦う運命にあるんだよ。
【N、知りたい事は分かったか?】
「うん、分かったよ……全部分かったよ…、ゾロアーク」
ボクは資料を閉じて、トモダチ…ゾロアークに笑い掛けた。
フォリア……キミはこの街で、『あの場所』で全てを思い出す。
その時こそ、キミに試練が課せられる時なんだ――――…。
←〔To Be Continued…〕