Heroic Legend -間章の灰-

□第35話 Nの迷い
2ページ/3ページ

『…―――ボクがプラズマ団の王様』




そう言った時、彼女の顔は泣き出しそうな…怒り出しそうな……そんな顔をしていたのを覚えている。



―――――――――――



「N様、どうなされたのですか?」


「いや、何でもないよ」


ゲーチスにそう聞かれたが、ボクは適当に返事を返す。


「しかし…ワタクシ達と会われてから、毎日そんな浮かないお顔ばかりではないですか」


「へぇ…そうなのかい?ボクは……いつも通りなんだけどな」


「…もしや、あのトレーナーの事ですか?確か名前は…フォリアとかいう……」


「…!」


ボクの反応を見て、ゲーチスは確信に変わったような顔になる。


「やはり…。何にせよ、あれ一人ではワタクシ達プラズマ団を止める事は出来ませぬ
ご安心下さい」


「あぁ…」



違う。


真っ先にそう思った。


どうしてかは分からない…。


でも、ボクの正体を言わなければ良かったと思っている…。


今更ながら、後悔しているのか…?

もう、フォリアと戦う決心は着いているハズなのに…。


(ボクは…まだ迷っているのか……?)


その時、プラズマ団の団員の一人が向こうから走ってくるのが見えた。


「た…大変です!」

「落ち着きなさい、我が同士。一体どうなされたのですか?」

ゲーチスの言葉で一呼吸置いた団員が、早口で話し出す。

「ホドモエシティで活動していたヴィオ様やその他の同士達が、自警団によって市中に閉じ込められました!
私は別行動を取っていたので、急いでこの事を報せようと…」

「事情は分かりました。よく報せてくれましたね…
ワタクシ達は今から同士達の救出に出ますので、アナタはゆっくりと休んでいて下さい」

「はい…ありがとうございます」


団員の話を聞いたゲーチスは静かに笑いながら、後ろの団員達の方を振り向いた。

「皆さん、これから市中に閉じ込められた同士達を救出する側、ここで待機する側と、二つの組に分かれます!」

そう言って、自分から殆どの団員を囲うように腕で表現する。

「ワタクシと今指名した同士の方々は救出する側、残った方々はこの電気石の洞穴の入り口にて待機していて下さい!」

『はっ!』

全員が姿勢を正して声を上げる。

そして、ゲーチスは団員達を連れて、ホドモエの方へと向かって行った。


【N、行かないのか?】

カタカタとボールが揺れ、中からトモダチが出てくる。

「うん、ボクは待たなきゃいけない」
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ