Heroic Legend -序章の黒-
□第25話 遊園地で捕まえて
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「…分かったか、人をバカにすると自分に返ってくる。
どんな世界でも、それは変わらねぇ」
「いや、お前が思いっきり10倍返し以上で返したよね?」
「あぁ、文句か? 文句なのか? それ」
「いいえ何でもございません」
「まぁ、良いか…」
※
《オレは戻る》と言って、トウヤはボクと入れ替わって奥へ引っ込んでしまった。
「…とりあえず、こんなか弱いご老体に手を上げるとは、不届き千万だよ」
「いや、か弱くないだろ」
下っ端が反論するが、ボクはスルーした。
お爺さんは「ワシはか弱いんじゃぞ!」と、しきりに訴えている。
うん、ぎっくり腰ならか弱いよ、お爺さん。
「まぁ、今度からは心を入れ替え、真面目に働き、所帯を持って平和に過ごして…」
下っ端の方を振り返る。
いない。
「…お爺さん、あのクズ共…じゃない、プラズマ団は何処に行ったんですか?」
「あぁ、遊園地の方へ逃げて行ったわい」
お爺さんがすぐ横のゲートを指差す。
「ありがとうございます!」
「あぁっ! ちと待たんかい!」
「…何ですか? 早くしないと見失っちゃいます」
「まぁ、これを持って行きなせい」
いつの間にか復活していたお爺さんは、ボクに箱を手渡した。
「…何ですか?」
「まぁ、助けてくれた礼じゃ。ワシは3番道路の育て屋をしておるからの。いつでも遊びに来なさい」
「じゃ」と、お爺さんは老人とは思えないくらいのスピードで走り去って行った。
ボクはあのお爺さんを『第二の師匠』と呼ぶ事にした。
いつか太極拳を教えてください。
勿論、『第一の師匠』はママだ。
【フォリア、箱の中身は何や?】
「あ、待ってね…」
開けるだけの箱には、何かが折り畳まれて入っていた。
「ん…?」
出して戻してみると、それはピカピカの自転車だ。
…お爺さん、気前良すぎだよ。
【フォリア、自転車や!】
【良かったねっ!】
「うん」
お爺さんにジャンピング土下座をしたいと思った今日この頃だった。
【…フォリア、あの緑色のポケモンは何だ?】
「え、どれ?」
【あの看板の裏にいる…】
ガルダに言われた通りに、手前のお菓子屋の看板に緑色の液体を持つポケモンがいる。
すかさず図鑑を出す。