Heroic Legend -序章の黒-

□第24話 砂嵐を突き進め
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「…もう、フォリアったらぁっ!」

「だから謝ってるよ…」

4番道路へ続くゲート、そこにボクとベルはいた。




昨日はネクとヒョウガと別れてから、みんな宿泊所に行った。

勿論、ボクも眠かったので自分の部屋へ行き、ベッドに入って即就寝だった。

で、今日は朝早くからベルから連絡が来たけど寝落ちしてしまい、ようやく起きたのが昼過ぎ。

ライブキャスターを見ると着信が24件……。

全てベルからだった。




そして、このゲートで待ち合わせをして今に至る。

「そういえば、チェレンとライカは?」

「チェレンはジム戦で、ライカはもう旅立っちゃった」

「みんな早起きだなぁ…」

遠い目をすると、ベルが笑いながらボクに言う。

「フォリアが寝坊助なだけだよぉ」

…ぎゅむ。

ボクはベルの頬をつねった。

「ほぉ…睡眠薬で寝てたキミが言うんだ……?」

「いひゃいいひゃい!」

『痛い痛い』とベルがチョップでボクの頭を叩いた。

「あだっ!」

「あたしも痛かったからお返し」

ベルがつねられた頬をさすりながら言う。

「……ありがとね、フォリア」

そっとお礼の言葉も添えて。

「…うん」

「よし、じゃあバトルねっ!」

「早っ!」

いつの間にかベルが向こう側へ移動していて、ボールを構えていた。

…シリアスとは縁がなさそうだな、ベル。

多分、ボクも。

「…あの〜」

「はい?」

振り向くと、ゲートの入り口にいた受付のお姉さんが、遠慮がちに声を掛けてきた。

「ここは室内ですので、あまり暴れないで下さいね。」

「はい。だってさベル」

確認のつもりでベルに視線を投げると、「大丈夫ー!」と両手をぶんぶんと振る。

…よし、バトル開始。

ボクの一番手は……

「ヤイバ!」

「ハーデリア、いっけぇ〜っ!」

ヤイバはホタチを器用に扱って、余裕の表情を見せる。

【…ふむ、いよいよだな】

「…?」

ヤイバの呟きの答えがすぐに出た。

突然ヤイバの体が光だし、新たな姿へと進化していく。

この光景にボクもベルもハーデリアも注目する。

「ほわぁ…」

ベルの溜め息と同時に光が消え、新たな姿を得たヤイバが仁王立ちに立っていた。

「図鑑…図鑑……」

カバンから図鑑を取り出し、ヤイバを認識させる。

「…フタチマル、二つに増えたホタチで戦う…か」

図鑑にはそう表示されていた。
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