Heroic Legend -序章の黒-
□第33話 少女の依頼
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【フォリアみたいなお子ちゃまにはまだ早いわよ】
「悪かったな」
ムッとしながら言う。
…とりあえず、チラーミィ達は無事に会えたし、二人が再会の余韻を噛み締めているのにいつまでも突っ立っているのも気が引けるので、ボクらはそそくさとポケセンへと行くのだった。
【…というか、いつの間にチラーミィを受け取ったの?】
ブリッツがボールから出てきて、不思議そうな顔で聞いてくる。
ボクは歩きながらその質問に答えた。
「ここを出る前にシアンから預かったんだ」
【…手早いな】
ヤイバが感心しながら頷く。
「…でも、何でボールが壊れてたんだろ?」
【…もしかして、あそこから落ちた時に『グシャ』っていう音がしてたから、まさかそれなんじゃ…】
「……てことは…!」
嫌な予感と共にカバンの中身を引っ掻き回す。
「…うわぁ……」
予想した通り……カバンの奥底からは、原形を留めていないボールの欠片や大破して機能しなくなったボール、おまけに潰れたハイ○ュウ(葡萄味)が出てきた。
「ボールが全部壊れてる…。道理で空ボール出す時に見つからなかった訳だ…」
【…オレ達のオヤツ…】
【見るも無惨な姿になっているな…】
【ウチらの非常食ぅぅ…】
手持ちのみんなは、壊れたボール(合計2000円相当)よりもハイ○ュウ(約100円)の事で嘆いていた。
「はぁ…ここで一端、買い物しなきゃな…」
〜♪、〜♪
ボクらがガックリと項垂れている時に、ライブキャスターの着信音が鳴った。
ピッ…。
「もしもし?」
着信相手を見ずに通話に出る。
すると……、
『何だ? 浮かねぇ面しやがって』
野太い声と共に、ヤーコンさんの顔が画面いっぱいに移し出された。
「ギャァァァ! マフィアのドンだぁぁぁっ!」
ボクはキャラ崩壊なまでに奇声を上げる。
『うるせぇ奴だな…。まぁ、いい。話を聞け!』
少し大きめに出された声にビクッとしながらも、黙り込む。
ヤーコンさんはそのまま話を続けた。
『今、あのメガネの小僧…チェレンだったか?
アイツから連絡があって、ワシらは今から現場に向かう。
…まったく、あんな場所に隠れるなんざ、物好きな奴らだな』
「まったくですよ」
『…まぁ、約束は約束だ。お前も手伝ったからな、いつでもいいからジムに挑戦しに来い!
通信は以上だ、切るぞ』
ブツッ…という音と共にライブキャスターの画面が真っ暗になった。
「ジム…かぁ…」
【…たまにはゆっくりせぇへんか? 明日は自由にショッピングや遊びに行くとか…】
【お、ジャルルったら、たまには良い事言うわね!】
【『たまに』は余計や】
二匹の盛り上がりに、他のみんなも乗り気だ。
「…よし、じゃあ明日は自由行動にしようか?」
【【賛成っ!!】】
とりあえず、考える事とかは明日に持ち越す事にし、ボクらは足早にポケセンへと向かうのだった…。
†次の日…