Heroic Legend -序章の黒-

□第33話 少女の依頼
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※フォリア視点




"対話する者"……。

イヴェールは確かにそう言っていた…。


対話する者って、ポケモンと会話が出来る人って意味なの?

…でも、アイツにはボクやNがポケモンと話す事が出来るのは知らないし、教えてもいない筈だ……。


もし…ボクの考え通りだとしたら…一体何処で…?



【…フォリア、外に出たわよ?】

「え? いつの間に……」

どうやらボクは、ランプルに声を掛けられるまで外に出た事に気付かなかったらしい。

そこまで深く考え込んでいたのだ。


ボクはまるで久し振りに陽の光を浴びるかのように両腕を伸ばして伸びをする。

「んーっ! やっぱり、外は暖かいなぁ…」

【私はこの中だから平気だったわ】

そう言いながら、自慢げに自身をまとっている液体をポヨポヨと波打たせるランプル。

可愛いが、何となく悔しい…。

「便利だねぇ…。あ、そうだ…
天井から落ちて、ボクはすぐに気絶しちゃったんだけど、どうしてこんな傷だけで済んだのか知ってる?」

【あぁ、アレ?】

うーん…と考えるランプル。


【んとね……フォリアと一緒に落ちててさ、このままじゃフォリアが大怪我するって思ってさ…
それで"助けたい"って、強く願ったの。それから体中に力が湧いてきて、後はよく分からないから省略ね】

「いや、重要だよね…そこは」

図鑑ならヒントが見られそうなので、それを取り出す。

ダブランを検索し、そこに表示されている説明文を読んだ。


「"二つの脳が同じ事を考えた時、最大パワーが発揮される"だってさ…。それで軽い怪我で済んだのか…。
…ありがとうね、ランプル」

お礼を言って、彼女の頭を撫でる。

【な…何か照れるわね…】

【照れへんでえぇよ。堂々と受け取っとき】

いつの間にか起きていたジャルルがそう言った。

「ジャルル、今まで寝てたの?」

【すまへんな。冬眠モードになってしまったわぁ…】

「そんなに寒かったのか…」

そう言って、冷凍コンテナを見る。

あの二人には先に行くって言ったし、ボクは一足先に休憩しに行こうかな…。


【…何にせよ、とりあえずは全て落着だな】

【…腹減った。ポケセン行こう】

【オイラも腹が減ったよ…】

「ちょっと待ってね」

男性陣の提案を受け入れたい所だが、その前にやる事がある。



「おーい、チラーミィーっ!」

ボクが呼び掛けるとガサガサ…! と傍の草むらが揺れ、ヒョコリとチラーミィが顔を出してきた。

【あ…トレーナーさん!】

「約束通り、キミの彼を保護してきたよ」

そう言って、ボクはボールを取り出す。

中には、心配そうな顔のチラーミィがいる。


【おまw何ゲットしとるんやwww】

「違うって! ボールの中が一番安全だから入れて保護してただけだよ!」

カチリ…とボタンを押すが、ボールが開かない。

よく見れば、開閉スイッチに亀裂が走っている。
つまり、ボールが開かないしポケモンを戻す事も出来ない。


「…壊れちゃった…」

【バカ…】

「バ…バカじゃないっ! 見てなよ!」


半ば逆ギレで涙目になりながら、ボールの上蓋を力ずくで剥ぎ取る。

「ほら、大丈夫だ!」

【無茶苦茶やwww】

ボールとしての機能を失い、チラーミィはそこから飛び出した。


【ハニー!】

【ダーリン! 本当に心配したんだから、もう!】

ボールから出てきた途端、二匹は互いを抱き締め合う。

よっぽど相手が大切なんだな。



【ヤッバいわー、リア充爆発しぃや】

「ジャルル、リア充って何?」
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