Heroic Legend -序章の黒-
□第32話 対決、冷凍コンテナ
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「何をそんなにビクビクしているんだ?」
「いいいいえ、何でもないれす…っ」
おじさんは涙目になるボクを訝しそうに見るが、話を続ける。
「まぁ、いい…。ワシがホドモエシティジムのリーダーをしている、ヤーコンだ」
(怖いぃぃぃ…。この人とバトルするのか…)
凄みを利かせていなくても、迫力満点の強面にビビる。
カミツレさん…クセのある人って言ってたけど、あり過ぎだと思うのはボクだけなのか…?
「僕はチェレン、そっちでビクビクしてるのがフォリアです」
チェレンがボクに変わって紹介をする。
ヤーコンさんはボクらを一瞥すると、再び鼻を鳴らした。
「…言っておくが、歓迎などしないぞ。なにしろ、お前らを通す為に橋を降ろしたせいで、閉じ込めていたプラズマ団が街中に逃げてしまったからな!」
「な…っ」
こんな所にもプラズマ団が……。
アイツらの活動範囲は一体どれだけ広範囲なんだ…?
「はぁ…メンドーだな…」
チェレンは溜め息をつくと、ヤーコンさんに向かって反論する。
「ヤーコンさん、橋を降ろしてくれた事には感謝します。しかし、それと僕達とは無関係じゃないですか」
「チェレン、ドライだね…」
【…まぁ、いかにも拙者達に尻拭いさせる気がある言い方と言うか…】
【むしろ満々やな…】
「『無関係』とは…随分な言い方じゃないか、小僧」
「本当の事ですが、何か?
…それにちゃんと拘束していないそちら側にも問題があると思いますが?」
「フン、何とでも言え。今の重要事項は、
『お前らがこの街に来た』事と
『プラズマ団が街中に逃げていった』事だ
……そこで、だ…」
一呼吸置いて、結論を話すヤーコンさん。
「自分でも強引だと思うが、お前らもプラズマ団を捜すのを手伝え。凄腕のトレーナーなんだろ?」
……ま、全くもって強引過ぎる…。
そう思った時、
「『凄腕』なら、ここにもいるぜ」
と言う声が聞こえてきた。
ボクらは声が聞こえてきた方を向く。
すると、街の入り口に立っているオブジェの影から人が出てきた。
その人はボクやチェレンよりも背が高く、白いYシャツに黒いトレーナーとズボンという服装で、赤いサックを持っている。
長い黒髪を水色のリボンでサイドテールにし、その色とよく合っているアクアマリンの瞳。
中性的な顔は挑戦的な笑みを浮かべている。