Heroic Legend -序章の黒-

□第31話 ホドモエへ
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「ほら、フォリア」

ポンと投げ渡されたものを、しげしげと見つめる。

「ポケセンまで戻るの、メンドーでしょ? それに君の手持ちを入れて」

「あ…うん、分かった…」

言われるままに自分のボールを窪みにセットし、カバーを上から被せる。

「後は、このアダプターと繋げてから…スイッチを押す」

再び投げ渡された充電器みたいな機械に、さっきの入れ物と充電器のコードを繋げる。

そして、機械のスイッチを押した。


キュインキュイン…。


入れ物が光って…五秒も経たない内に、突然カパッとカバーが開いた。

「はい、回復完了だね。僕もするから渡して」

「分かった」

ボールをしまってから、その一式をチェレンに返す。

チェレンは手慣れた手付きで、あっという間に回復を終わらせる。


「…凄いね、その機械…」

「あぁ…通販で買ったんだけど、なかなか役に立ってるから重宝してるんだ」

…通販か。


「回復も終わった事だし、始めようか」

既にボールを一つ持って準備しているチェレン。

ボクもジャルルのボールを手に持つ。

幼稚園児達はずっと待っていたらしく、ボクらの準備が終わると嬉しそうにボールを持った。

「使用ポケモンは一体ずつ。どちらか二体共が戦闘不能になったら試合終了だ。

それでは…始め!」

アデクさんが手を上げて、試合開始の合図をする。

それを聞いて、ボクらは一斉にボールを投げた。

『がんばって、ハーデリア!』

「行けっ、チャオブー!」

「行くよ、ジャルル!」

やる気十分の四匹が場に飛び出す。

【まさか…アンタとマルチバトルとは…。どんな戦い方をするのか楽しみやな】

【あぁ…強くなったお前がどこまでやるのか…久し振りに見せてもらうぞ】

先攻はボクらだ。

相手が子供だろうと、容赦はしない。
それがバトルなんだ…!

「飛ばしていくよ、ジャルル!
グラスミキサーっ!」

【今日のウチは…台風やぁぁ!】

いや、普通にやっていいからね…。

とは言え、ジャルルの『グラスミキサー』は、まさに台風のごとくに園児のハーデリア一体に直撃する。


「…よし、僕だってやるさ。チャオブー、ニトロチャージ!」

【そっちが台風なら、こっちは新幹線だぁぁ!】

…キミも普通にやってくれ。

というか、台風と新幹線には何の繋がりも無いと思うんだけど…。


そうツッコんでいる間にチャオブーの攻撃は、もう一体のハーデリアに炸裂した。
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