Heroic Legend -序章の黒-
□第30話 チャンピオン漫遊中?
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【うわぁっ!】
『猫騙し』が決まり、ブリッツが後ろへ吹っ飛ばされる。
「ブリッツ!」
ダッシュでブリッツを受け止めようとするが、彼の体重に吹っ飛ばされた勢いが加わったせいで、ボクも耐えきれずに一瞬に転がってしまった。
「……っく、何するんだチェレン!」
ブリッツを支えながら、前に立っているチェレンを軽く睨む。
「…何って、バトルだよ。
ボルトバッジを持つ者同士、実力を確かめ合うんだ」
「だからって、いきなり攻撃なんて…!」
「話をはぐらかそうとした君が言わないでよ」
う…。
ごもっともです、すみません。
「だって…」
「?」
しばらくモゴモゴと何を言おうかと迷ったが、あえて本音を言う。
「…チェレンとのバトルで、またポケセンへ舞い戻るのが面倒臭いんです。
何でそこの空気を読んでくれないんだよ!」
「空気読めてないのは君の方だ! 普通はバトルするのが相場だろっ!」
若干キレ気味になって叫ぶと、チェレンにキレ気味で一喝されてしまった。
いや、もっともな意見だけどさ…。
『人間には面倒臭いって時もあるんだよ』
by フォリア
【…フォリア、あの子にボコボコにされるわよ】
…って、だから読心術を使わないでw
ちぇっ…せっかく普通にホドモエに行って、さっさとジム戦やって次の街へ行けると思ってたのに…。
「こうなったら速攻ストレートKO勝ちで行くよ!」
「今度こそ…君に勝ってみせる!」
最初に動きを見せたのはチェレンとレパルダスだ。
「乱れ引っ掻き!」
鋭い爪を光らせながら迫るレパルダス。
…これって、前回同様じゃないか。
だったら…!
「ブリッツ、防御の後にすかさず脚を掴んで…」
「そう何回も同じ手を食うようなバカじゃないよ、僕はねっ!」
防御の後に素早く腕を動かすブリッツだったが、それよりも早くにジャンプで距離を取ってしまうレパルダス。
「だったら突っ張りで接近戦に持ち込むんだ!」
【うん!】
「かわせレパルダスっ!」
スピードには些(いささ)か自信のあるブリッツ。
しかし、しなやかで強靭な脚を持つレパルダスのスピードにはどうにもついていけない。
明らかに攻撃の手数が多い『突っ張り』さえも、なかなか当たらずに殆ど避けられてしまった。
【く…っ】
(…やっぱりレパルダスの動きを止めないといけない…?!)
落ち着けボク、考えろ…考えるんだ…。
きっと、何か攻撃の手はあるはず…!