Heroic Legend -序章の黒-
□第30話 チャンピオン漫遊中?
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「そんな所に隠れたって髪の毛がはみ出てるよ、フォリア」
「なん…だと…?」
ボクは今、5番道路に来ている。
緑…と言っても今は秋なので、木々は少し茶色めいている。
それ以外はそよ風が気持ち良い道路だ。
因みにランプルの故郷でもある。
ボクはそこで、ある事を思い出し、すぐ近くにあったワゴン車の脇に立っている看板に隠れる事にしたのだ。
「…来た」
やっぱりいたよ…。
予想していた通り、この辺でウロウロしている。
【…ん? あのメガネ誰よ…?】
勝手にボールから出てきたランプルがその人物を見る。
「あれは、インドアなメガネだけど、何故かいつもボクの行く手を遮ってくるんだよね…」
そう…お察しの通りだと思うが、ボクが身を隠す理由…それはすぐ近くをウロウロしているインドアメガネ、チェレンである。
「ふふ…ボクは人の気配には敏感なんだよ。
そう簡単にバトルすると思ったら大間違いだよ、チェレン君www」
「…」
あれ…チェレンがこっちを向いた。
まぁ、絶対気付いてないよね。
『隠れんぼの鬼才』と呼ばれた、このボクがそう簡単に見付かるもんか。
…実際は呼ばれてないけど。
あれ…何か距離が縮まったような気がするけど、気のせいだよね!
アッハハハハハっ!
ハハハ…。
―――――――――――
そして、今に至る。
「くっ…隠れんぼの鬼才と呼ばれたボクが…っ!」
「『頭隠して髪の毛隠さず』だね」
キラリとチェレンのメガネが光る。
しかも、ドヤ顔のおまけ付きだ。
…あれ、殺意が湧いてくるよ。
「この暇人メガネが」
「最近僕の扱い酷くない?」
「気のせいさ!」
超爽やかスマイルで言ったが、チェレンはまだ訝しげな顔をしている。
「引っ掛かる部分はあるけど…まぁいいか……。それよりフォリア、バトル…」
「あーあーあーあー、聞こえなぁぁぁいっ!」
「…僕とバト…」
「いやっはぁぁっ! 今日もいい天気だねチェレン君☆」
「…ちょっと、僕の話聞いて…」
「え? うん、聞いてるよ! 今日はマジでガチでいい天気で爆睡したくなるよね?!」
カチャ…。
チェレンはメガネの位置を直すと、自分のボールからレパルダスを出した。
そして、そのまま無表情で、
「猫騙し」
とだけ言う。
当然、ボクは反射で応戦を始める。
素早くブリッツを出し、『猫騙し』に備える。
「防御だ!」
しかし、その前に向こうの技が来た。