Heroic Legend -序章の黒-
□第28話 父と娘
3ページ/10ページ
「…まぁ、とりあえず考えてみるよ。もしかしたら『お前は勇者になるのだ』みたいな展開になるかもしれないし…」
「フォリア…キミも案外面白い考えを持ってるね…」
ネクが少しひきつった顔をした気がするが、あえて気にしないボク。
「…さて、もうそろそろ行こうかなぁ」
ボクはそう言ってベッドから起き上がる。
「え? もう少し寝てなきゃ…」
心配そうに見るベルの頭にポンと手を置いた。
「大丈夫だよ、ベル。ボクはもう元気100倍アンパ○マンだからさっ!」
「シリアスな雰囲気で言っても、効果ゼロだって…」
遠い目をしながら小声でツッコミを入れるネク。
※
「…ネク」
フォリアとベルに聞こえない程度の小声で、ヒョウガが話し掛けてきた。
「何だ?」
「別行動で集めた情報とか無いか?」
「目撃情報だと…カラクサ、夢の跡地、地下水脈の穴、シッポウにヒウンにここ、ライモン……。
だんだんプラズマ団の活動が活発化してきてるような気がする」
「…やっぱ同じ事を考えてるか…。数年前までは死んでるように静かだったのに…」
ヒョウガは考える仕草で小さく唸り声を上げる。
プラズマ団の考えは全く理解出来なくはない。
だが明らかに規模とやり方が間違っている。
このままだと人間全てを排除しかねないほどにまで暴走するかもしれない…。
「白星、黒星の奴らを追って来たと思ったら、こんな敵さんまでいたとはな…」
思い返すようにヒョウガが呟く。
「…うん、最近姿を現さないけれど…奴らは一体何が目的なんだ?」
俺達の中には、まだまだ疑問が残っている…。
結論を出すのはまだ早い。
※
「ネク、ヒョウガ、ボクを運んでくれてありがとうね」
「まぁ、一応ホールの係員だからな」
「乗り掛かった船だもんね」
理由はどうあれ二人には感謝している。
…時々流れる映像。
今回起こった激しい頭痛…。
ボクの知らない『何か』をボク自身が忘れているとでも思った方が妥当なのかな…?
――――――――――――
「…ベル、やっと見つけたよ」
「お…お父さんっ!?」
二人と別れてからホールを出ると、なんとベルのお父さんが立っていた。
「どうして…ここに…?」
いまだ自分の父がここにいる事を呑み込めずに、あわあわと慌てるベル。
実際、ボクも驚いていた。