Heroic Legend -序章の黒-

□第27話 決意と異変
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―――――――暗い。

寒くはないから、多分まだ死んでないよね…?



ここは何処だろう――――…?


何だかふわふわ浮いているような感じだ……。


この感覚を体験していると、何処からか声が聞こえてきた。



「―――、ちゃんとパパの言う事聞くのよ?」

「うん…分かった」


「心配するな、―――は僕が守ってみせる」

「えぇ…私はこの子とあなた達の帰りをいつまでも待っているわ……」



ボクの眼前にぼんやりと見えてきたのは、二人の男女と幼い二人の子供。

標準的な体型で優しそうな男性が、涙声になる華奢な女性の頭を優しく撫でている。

その男性のもう片方の手を幼い子供がギュッと握っていた。


一方、女性の手をしっかりと握っていたのはもう一人の子供。

四人はすごく寂しそうな顔をしている。




―――――え、待って……。

女性とその側の手を繋いでいる幼い子供は見覚えがある…。


女性は茶色の髪を結っていて、青い瞳をしている。


『……ママだ…』


そして、もう一人の子供を見る。

黒い髪をポニーテールに結び、蒼穹の目は悲しみの色を帯びている…。

…間違いない。


幼いが、鏡の前に立つといつも見える顔。



あれは――――――…、






『…ボクだ―――――……』










―――――――――


「―――…ん」


少し息が苦しい。

頭はぼーっとするし喉も痛む。


ハァ…と息を吐くと湿気が口の周りに現れる。



ゆっくりと目を開けると、白い天井が見えた。

首を動かしても、白い壁が見えるだけ。



―――――あれ?

これって死亡フラグ?


そう思ったその時、ガチャ…とドアの開く音がして、大声が聞こえてきた。


「フォリア…っ!? 目が覚めたんだね?!
良かったぁ…っ!」

その声の主はニッコリとボクの顔を覗き込み、涙を指で掬(すく)う。



「…ベ…ル……?」

掠れるように絞り出した声は、くぐもって聞こえた。

多分、ボクの顔にはマスクみたいなのが付いているんだろう…。




ボクの幼馴染みは、涙を流しながら質問した。


「フォリア、ここは何処か分かる?」

声を出すと喉が痛いので、首を横に振ってジェスチャーをする。

…少し気持ち悪くなってしまった。


「ここは病院よ。あなた…倒れたのよ?」
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