Heroic Legend -序章の黒-

□第26話 壊れた関係
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「は……はは、参ったな…」


よりによって一番当たって欲しくない予想が当たるなんて…。


しかも、目の前にいるのが……敵のボスだなんて…。



Nはボクが狼狽えてるのを見ても無表情のままだ。

「…嘘だよ」

「嘘じゃない、これが真実さ」

すがるような思いで呟いた言葉も、Nに否定された。



「ねぇフォリア。
この世界にはどれほどのポケモンがいると思う?」

「…」


Nが何かを話しているが、頭の整理がついていない今の状態では、彼の話が理解出来ない…。

「全てのポケモンは今幸せなんだろうか?
ボクはプラズマ団と共に人間という鎖からポケモン達を解き放ち幸せにする。
これが今まで旅をしてきて決めたボクの夢」


淡々と話すN。



「キミはどうするの?」

静かに笑って、ボクを見る。









「…ボクは……」


上手く言えない状態で呟いた、その時だった。


「はい、お疲れ様でした! またご利用下さいねっ!」

いつの間にか観覧車は一周していて、係員が笑顔で出迎えた。

ボクとNは無言で観覧車から出て、しばらく歩く。



「「N様っ!」」


しばらく歩くと、先程の下っ端達がNの元へ走って来る。



「N様…か」



誰にも聞こえないように呟き、静かにボールを持つ。

ボクの前を歩いていたNも、少し離れた距離からクルリと振り返ってボールを構える。



「N…、ボクはまだキミから聞いた事が信じられない。でも、全てのポケモンを人間から引き離す事は良い事だなんて思えない。
人間と仲が良いポケモンだっているのに、それを幸せだと感じているポケモンだっているのに!

キミはボクと初めて会った時に言ったよね?
『ボールはポケモンを閉じ込める道具だ』って」

そう言って、みんなが入った5つのボールを両手に乗せる。

「ボールがポケモンを閉じ込める道具なら、ボクはとっくにコレを叩き壊してる…。
でも、みんなは好きでこの中に入っている。この中からボクと同じ世界を見ている。
ボールはポケモンとポケモンの気持ちを縛る為の物じゃない…。

大事な仲間達との…絆なんだ」

Nはボールを見つめながらボクの話を聞いていたが、険しい顔でボクに自分のボールを突き出すように見せる。


「それはキミの価値観でしょ?」

「…っ!」
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