Heroic Legend -序章の黒-
□第23話 ボクらの救出大作戦!
1ページ/8ページ
「………はぁ…」
かれこれ一時間、この調子で溜め息をつくボク。
ジャルルに叱咤され、ヒョウガとネクに助けを求める案が出た所までは良かったものの、肝心の二人の番号を聞くのを忘れていたので、結局また振り出しに戻ってしまったのだった。
「…はぁー……」
大した行動もせず、午前に入った喫茶店に戻り、今に至る。
「…どうしたんですか、お嬢さん?ずっと溜め息ばかりで」
こんなボクを見ていられなかったのかは分からないが、グラスを拭いていたマスターがボクに向かって話し掛けてきた。
「…マスター、例えば……例えばですよ」
「はい?」
グラスを拭きながら、マスターがボクの話に耳を傾ける。
これでも真剣に聴いているのだと思った。
「例えば、マスターの大事な友達が崖から落ちそうになったとします」
「はい」
「崖から落ちれば絶対助かりませんし、友達の周りには凶暴な怪物が沢山いました。
……あなたは、誰の手も借りないで友達を助けられますか?」
するとマスターはグラスを拭く手を止め、上を向いて静かに言った。
「……例え、私の身がどうなろうとも…私はその友人を助けに行きますね」
ボクはマスターを見ながら、更に質問する。
「それはどうしてですか?」
「そうですね…『助けたい』から、じゃ駄目ですか?」
ボクは静かに笑って、
「いえ、十分過ぎる答えです」
と言った。
マスターもニコリと笑い、「頑張って下さいね」とボクに言う。
そして、そのまま店を出たボクは、例の廃ビルに向かって走り出した。
例えノワールの条件に応えられなくても、自分がどうなろうとも、絶対に捕まっているみんなを助ける……。
絶対に……。
だから、待ってて……!
※
「ねぇ、ヒョウガ」
「何だよ?」
「…俺達さ…迷ってない?」
「…は? 何を言い出すかと思ったら、何を言ってるんだいネクさんw
冗談キツいですってwww」
「いや、本当…冗談抜きで…」
ネクの言う通り、俺達は迷っていた。
ヒウンシティに着き、プラズマ団の事を調べに来たんだが、全く収穫無しな上にこのコンクリートジャングルで迷子になる始末だ…。
方向音痴なのが俺達の共通点、もしくは弱点でもあるのかもしれない。
「…本当だな、さっきからグルグル回ってらww」
「笑い事じゃないだろ、この状況…」