Heroic Legend -序章の黒-

□第23話 ボクらの救出大作戦!
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「………はぁ…」

かれこれ一時間、この調子で溜め息をつくボク。

ジャルルに叱咤され、ヒョウガとネクに助けを求める案が出た所までは良かったものの、肝心の二人の番号を聞くのを忘れていたので、結局また振り出しに戻ってしまったのだった。

「…はぁー……」

大した行動もせず、午前に入った喫茶店に戻り、今に至る。

「…どうしたんですか、お嬢さん?ずっと溜め息ばかりで」

こんなボクを見ていられなかったのかは分からないが、グラスを拭いていたマスターがボクに向かって話し掛けてきた。

「…マスター、例えば……例えばですよ」

「はい?」

グラスを拭きながら、マスターがボクの話に耳を傾ける。

これでも真剣に聴いているのだと思った。

「例えば、マスターの大事な友達が崖から落ちそうになったとします」

「はい」

「崖から落ちれば絶対助かりませんし、友達の周りには凶暴な怪物が沢山いました。

……あなたは、誰の手も借りないで友達を助けられますか?」

するとマスターはグラスを拭く手を止め、上を向いて静かに言った。

「……例え、私の身がどうなろうとも…私はその友人を助けに行きますね」

ボクはマスターを見ながら、更に質問する。

「それはどうしてですか?」

「そうですね…『助けたい』から、じゃ駄目ですか?」

ボクは静かに笑って、

「いえ、十分過ぎる答えです」

と言った。

マスターもニコリと笑い、「頑張って下さいね」とボクに言う。

そして、そのまま店を出たボクは、例の廃ビルに向かって走り出した。



例えノワールの条件に応えられなくても、自分がどうなろうとも、絶対に捕まっているみんなを助ける……。

絶対に……。

だから、待ってて……!












「ねぇ、ヒョウガ」

「何だよ?」

「…俺達さ…迷ってない?」

「…は? 何を言い出すかと思ったら、何を言ってるんだいネクさんw
冗談キツいですってwww」

「いや、本当…冗談抜きで…」

ネクの言う通り、俺達は迷っていた。

ヒウンシティに着き、プラズマ団の事を調べに来たんだが、全く収穫無しな上にこのコンクリートジャングルで迷子になる始末だ…。

方向音痴なのが俺達の共通点、もしくは弱点でもあるのかもしれない。

「…本当だな、さっきからグルグル回ってらww」

「笑い事じゃないだろ、この状況…」
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