Heroic Legend -序章の黒-
□第21話 ミツだらけの甘いジム
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「じゃ、決定ね! 調べるついでに、あたしもポケモンを鍛えなきゃ。
もう盗られないようにね…」
ベルが自分のボールを見ながら、そう呟いた。
彼女なりに『頑張る』の気持ちが伝わってくるよ。
「あ、フォリアはジム戦しに行ってもいいよ。
調べものとかしてると、気づいたらいつも遊んでいるじゃないか」
え、チェレン酷いって、それ…。
冗談抜きに言われた一言で沈んでいるとジャルルがボールから出てきて、
【ど・ん・ま・い☆】
とグッジョブサインをした。
「…ジャルル、焼きジャルにしてあげようか?」
【何やねん、焼きジャルって!? 大体想像は出来るけどっ!】
「嘘だよ」
【…なん…だと…?】
そんなやり取りをしていると、アイリスはすごく驚いたような、でも嬉しそうな表情をしながらボクに聞いてきた。
「わぁ……っ! フォリアお姉ちゃん、ポケモンとお話できるんだ?!」
「え…うん、まぁね」
「すっごーいっ!」
アイリスは嬉しそうにジャルルを抱き上げて、高い高いをし始める。
何か、出会った頃のボクと同じ事をしてるなぁ…。
【あぁぁぁ…気持ち悪ぅぅぅ……っ】
「……アイリス、ジャルルが死にかけてる」
「え!? ゴメンねジャルルっ!」
【お、恐ろしい娘っ子やな…】
ジャルルをボールに戻し、ボクとアーティさんはベル達と別れて、ポケセンへと寄る事にした。
―――――
「お預かりしたポケモンは、すっかり元気になりましたよ」
「ありがとうございます、ジョーイさん」
「うん、いつもありがとね」
回復を済ませたポケモンを受け取りながら、アーティさんはボクに話し掛ける。
「フォリアちゃん、この後はすぐジム戦する?」
「あ、はい。よろしくお願いします!」
ペコリと頭を下げると、楽しそうなアーティさんの声が降ってくる。
「うん、全力で掛かって来てね。楽しみにしてるから」
アーティさんはそう言って、ポケセンを出て行った。
ボクは、少し海が見たくなったので、ジムに向かうついでに港に行く事にする。
ジョーイさんに頭を下げてから、ボクはポケセンを後にした――――…。
「うーん、潮の香りがする…」
港のベンチに腰を掛けながら、ボクはジャルル達を出して、潮風に当たっている。
【…清々しいな、一泳ぎしたくなるくらいだ】
「いや、止めてねヤイバ」