Heroic Legend -序章の黒-
□第21話 ミツだらけの甘いジム
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「リオ…何処に連れていかれたの…」
ビルの外に出てから、ライカが涙声で呟く。
ベルのムンナを取り返してから、オレ達はビルを後にして、路地に来ていた。
「さて、オレは戻らなければ…な」
オレはそう言って、フォリアを呼び出してみる。
《…どう? ベルのポケモンは取り返せた?》
「ま、何とか」
ゲーチスの野郎に言われた事は、とりあえず伏せておく。
せっかくアイツが立ち直ったばかりなのに、変な事を言ってまた落ち込ませるのは嫌だからな。
「長く借りちまったな、疲れたぜ」
《…ねぇ、トウヤ》
「何だ?」
《…ボクは、大丈夫だよ…。ゲーチスって人に何を言われても、ボクはボクの守りたいものを守るよ》
「……やっぱ聞いてたのか」
顔に手を当てて、しまったというポーズになる。
《珍しいね。いつも見ているのを分かっているのにさ》
「あぁ、そうだったな…」
…らしくねぇな。
そう思った時に、フォリアが明るい声で言う。
《ボク、頑張るよ。もっと自分もジャルル達も鍛えて、強くなる。
トウヤの手を煩わせないくらいにね!》
「……ははっ、頼もしいな、お前は」
《当然だよ。いつまでもトウヤに頼っていられないからね》
「あぁ、期待して待っていてやるよ」
オレはそう言いながら、フォリアの意識と交代した――――――…。
※
はぁ、何か久々に体を動かしている気がする。
トウヤと交代してもらったボクは、手を伸ばして大きく伸びをした。
「ねぇ、ベルお姉ちゃん!」
ベルの隣にくっついていたアイリスが、明るい声でベルを呼ぶ。
「なぁに、アイリスちゃん?」
「アタシ、ライカのポケモンを連れていった悪い奴らの事を調べようと思うんだけど、一緒に行こうよ」
「分かった。ライカはムンちゃんの為に頑張ってくれたもんねっ!
今度はあたしが頑張らないとっ!」
ライカは目に涙を溜めながら、ベルとアイリスを見た。
「アイリス、ベル…ありがとう!」
アイリスは、嬉しそうな様子でアーティさんを見た。
「ねぇ、いいでしょアーティ?」
「ん? あんまり危ない事は、ダメだよ。シャガさんに心配掛けちゃうからね」
「はぁーい!」
「じゃ、僕もついていくよ。僕も気になるからね、その怪しい奴らは」
チェレンがアイリスに提案した。