Heroic Legend -序章の黒-
□第19話 橋を越えて都会へ
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「ジムリーダーから、『事情聴取の為、博物館に来い』って」
「事情聴取とか…メンドーだね」
チェレンがさも嫌そうな顔をしながら言う。
「まぁ、森での出来事はほとんどNが話してくれたし、後は確認とかそんなのじゃないかな?」
ベルが首を傾げながら話す。
「じゃ、面倒くさいから今行こうか」
「えぇっ、今っ?!」
ベルが驚いて目を丸くする。
すかさずチェレンが反論の声を上げた。
「そんな事出来る訳ないだろう。外見ろ、外」
言われた通りに窓から外を見ると、もう日が沈み掛かっていて、辺りが薄暗くなっていた。
「……わぉ、暗いw」
「全く…明日にしろよな」
「あたし達もついていくからさっ!」
「ボクはキミの聴取が終わるまで町から出る訳にはいかないから、必然的に付き合う必要があるね」
そんな感じで話がまとまり、退院も含めて明日に博物館へ行く事になったのだった――――…。
「はい、キミのトモダチ」
Nが差し出したボールの中には、ジャルル達が気持ち良さそうに眠っていた。
「…良かった、ガルダもヤイバもみんな無事で……」
受け取った四つのボールを見つめながら、ホッとする。
ベルは不満げなチェレンを引きずってポケセンへ行ってしまい、あとに残されたボクとNはしばらく何も喋らなかった。
「ボクには世の中の人間はみんなポケモンを利用するだけの生き物にしか見えなかった」
突然Nが語り出す。ゆっくりとした口調で、淡々と…。
「ポケモンを人間から解き放たないとポケモンという種族は滅びる、そう思って旅を始めた。ポケモンを解放する方法を探す旅に」
ボクはただ黙って、Nの話を聞く。
病室からは、Nの声と設置された時計の針の音しか聞こえない。
「…――――だけど旅をして驚いた。
ポケモンと心を通わせる人間が少なからずいた事に。
キミもそんな一人」
と言ってボクを見る。
「中でもキミはボクと同じ力を持っていた事にとても興味が湧いた。
ポケモンと対話が出来る力…。
それだけじゃなく、キミのトモダチはキミといるととても穏やかな顔をする。
最初は全く理解出来なかった。
でも、この二回だけの勝負でも少し分かった気がする。
キミとキミのトモダチは互いに信頼しあっているという事が」
「N…」
ボクは再びジャルル達を見る。
相変わらずスヤスヤと眠っていた。