Heroic Legend -序章の黒-
□第19話 橋を越えて都会へ
1ページ/16ページ
※
「あぁっ、いたぁっ!フォリア発見!」
ベルがボクを見つけると、急いで駆け寄ってくる。
「やぁ、ベル…。」
それだけ言うと、ボクは糸が切れた人形のように、その場に崩れ落ちた。
「ふぇぇ…っフォリア、大丈夫っ!?」
ベルがボクを適当な木に寄っ掛からせてくれる。
それと同じようなタイミングで、チェレンやアロエさんが茂みをかき分けてくる。
その後ろからは、病院で会ったリさんや自警団の人達……。
「お前…!」
チェレンは檻からガルダ達を出しているNを見るなり、敵意剥き出しで睨み付けている。
「…何をしているんだ、こんな所で」
今にも飛び掛かりそうな勢いで迫るチェレンを見ても、Nはしれっとしながら答えた。
「フォリアがこの子達を探しに行くと言って、ボクは付き合っていただけ」
そう言って、傷付いたガルダとヤイバを優しく抱き上げると、ボクの傍に運んできた。
「ほら、やっぱり熱が出たじゃないか」
二匹をそっと下ろしながら、Nがボクの顔を見る。
「…でも、来て正解だったよ……。間に合ったから…」
ガルダとヤイバを優しく撫でて、ボールに戻した。
ボクは、傷付いた二匹をポケセンへ連れていこうと立ち上がった。
「うわ……っと…」
流石に無理し過ぎたみたいで、足元がフラつくのをベルに支えてもらいながら、歩き出す。
「フォリア、アンタみたいなトレーナーは本当に初めてだよ」
アロエさんも、多少呆れ顔をしながらも肩を貸してくれた。
そして、ボクはこのあと入院期間が延び、ガルダとヤイバは治療の為にポケセンへ入院する事となってしまった……。
「……起きた?」
目が覚めると、Nがボクの顔を覗き込んでいた。
その隣には、ベルと明らかに怒っているチェレンがいた。
「アレ…? 空飛ぶコジョンドは……?」
「どんな夢見てたんだ、君は…」
チェレンのツッコミで、やっと目が覚める。
「ふぁ…ねむ…」
「三日間寝ててまだ眠いの?」
今度はNが突っ込んでくる。
いや、ツッコミ自体よく分かっていないだろうから、率直な疑問なんだろうけど。
というか、三日間寝てたのか…。
「寝過ぎると眠くなるんだよ…」
「ふぅん。あぁ、そうだ…。キミが起きたらって伝言を頼まれていたんだ」
Nが思い出したように、相槌を打つ仕草をする。
「そうなの…? 誰から?」