Heroic Legend -序章の黒-

□第17話 苦しみの中で
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ミジュマルに起こされたブリッツとガルダも、ボクに駆け寄ってくる。

「ご…め……ん…ね……」

必死に声を振り絞る。

みんなは、首を振ってボクに擦り寄ってきた。

【…あれから一週間も眠っていたんだ】

ミジュマルがベッドの横に座りながら話す。

ジャルル達が離れて、改めて周りを見ると、何処かの部屋だという事を理解した。

【アーティ達がここまで運んで来たんや…】

「アー……ティ? ……だ…れ……だっ………け?」

【何言うとるんや、プラズマ団と戦う時にいたやろ?】

……頭がぼーっとして、何も分からない…。

【…一時的な記憶障害だろう】

ミジュマルが腕を組みながら言う。

その時。


コンコン……。


「フォリア、入るよ?」

よく知っている声?

その疑問は、次のショックで吹き飛んでしまった。

ドアが開き、数人の人間が入ってくる。

「……う…ぁっ?!」

ビクッと飛び起きて、壁際にへばりつく。

知っている人間が二人。

後の四人は知らない……知らないっ!

「…っ……来るなぁぁぁぁっ!!」

ボクは絶叫しながら窓から逃げようとした。

頭が人間としか認識しない。

冷たい人間…。

怖い人間…。

知らない人間が素早く動いて、ボクの肩を掴む。

「…ぅあぁっ!!」

身体が反応して、そいつの顔を殴り飛ばす。

もう一人来て、腕を掴んだ。

反応して投げ飛ばす。

「…っやだやだやだぁっ! 来るな人間っ!!」

「ちょっと、フォリア! 落ち着きな…!」

大柄な人間が近づいてきて、ボクを押さえつける。

「ちくしょ…っ! 離せぇぇっ!」

じたばたして暴れ、そして――――…、


パン――――ッ!


乾いた音と、頬に走った強烈な痛みで我に還る。

「っはぁっ…はぁっ……!」

急に動いたからか、身体が力を無くし、押さえつける力が消えた途端に崩れ落ちた。

「ぁ…あぁ……っ!」

ポロリと、自分の意思に関係無く、頬に水が伝っていく。

ポロポロと涙を溢すと、誰かが、ぎゅぅ…と抱き締めてきた。

「ごめんねフォリア…。……痛かったかい?」

この声…。

「ア……ロエ…さん?」

そこまで言うと、ボクはアロエさんにしがみついて泣き出した。

「ごめ…な……さい! ごめん……な…さいぃっ!」

アロエさんが子供をあやすようにボクの頭を撫でる。

「よしよし…怖かったんだろう?」

そのお陰で恐怖が消えていき、ボクはしばらく泣いた…。
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