Heroic Legend -序章の黒-

□第17話 苦しみの中で
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苦しい―――――…。


痛い―――――…。


おまけに気持ち悪い――――――…。








何処からか、声が聞こえる。


それは、幼い頃から聞いてきた、ずっと拒絶してきた声……。





「やーい、バケモノォーッ!」


「ポケモンと話せるぅ? ……ハッ、バカじゃねぇの?」


「…気持ち悪い子ね」


「近づくなバケモノ」




バケモノ―――…。


バケモノ――――…。


バケモノ―――――…。




嫌だ。


もう聞きたくない…。





どうして?


ただ……






ポケモンの声が聞こえるだけなのに…。



どうして気持ち悪いだなんて言うんだ?


なんでバケモノって言うの?



ボク、何も……、



何も悪い事してないのに……。




――――――どうしてこの子を助けてくれないの?




嫌。


この町の人間はみんな冷たい…。


誰も助けてくれない…。


誰もこの子達の声を聞いてくれない…。



だったら、ボクがこの子達を守ってみせるよ。




例え石を投げられても、


殴られても、蹴られても……。







ボクが必ず――――――――………



「ま………もる……から………」

手を伸ばして、空を掴む。

そして、うっすらと目を開けると…

【…良かった、気がついたか……】

ポケモンの声が聞こえてきた。

「…」

ここは、何処だ?

なんだか上手く喋れなくて、もどかしい…。

それに身体がだるくて、石になったみたいだ。

【おい、お前達。起きろ、主のお目覚めだ】

この声はミジュマルか…。

頑張って首を動かすと、ミジュマルがジャルル達を起こしている。

…ホタチで。

【いたっ! 何するんや、ミジュマル!】

【お前達の主が目覚めたと言ったんだ】

ジャルルが目をぱちくりさせ、【ホンマか?】と聞く。

【拙者がしょうもない嘘を言うと思うか?】

この言葉を聞いて、ジャルルがボクの方へと駆けてきた。

目には涙が溜まっている。

【フォリア…!】

「ぁ……」

声が掠れて、ジャルルの名前が呼べていないが、ボクは腕を伸ばして、ジャルルをそっと抱き締めた。

【ア……アホォ……っ、こないな心配させて…っ!】

声が出ない代わりにボクは、うんうんと頷きながら、ジャルルの頭を撫で続けた。

【…フォリア! 目が覚めたんだねっ!】
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