Heroic Legend -序章の黒-
□第16話 踊れヤグルマ大捜査線
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しかし、そんなボクの警告が効くはずもなく、キレた下っ端が仲間達に再び号令を掛けた。
「では、煙幕っ!!」
「プラーズマー!」
「プラーズマー!」
掛け声と共に、煙幕が放たれる。しかも、目鼻に刺激が与えられる最悪モノ。
「ゴホッ…ゴホッ…! ……催涙弾と間違えてないっ?!」
【ギャァァッ! 目が…目がぁぁっ!】
【どっ…何処のム○カやねんっ?!】
ブリッツとジャルルがコントを繰り広げている間に、プラズマ団の足音がどんどん遠ざかっていくのが分かる。
目と鼻がめちゃくちゃ痛いのを我慢しながら、ボクはガルダをボールから出した。
「ガルダ…大丈夫?」
【…羽毛があるから、なんとか…】
「だったらさ…プラズマ団を…見失わないように…追い掛けてくれる……かな?」
ガルダは【分かった】と言うと、勢いよく飛び立って行った。
ようやく煙幕が晴れて、目と鼻の痛みも引いてきた。
「…なんて事だい」
「アロエ…」
肩を落とすアロエさんを優しく慰める副館長さん。
…二人の為にも絶対に取り返さなければ……っ!
「アロエさん、追い掛けましょう!
煙幕といっても、逃走時間はそう稼げませんよ!」
さっきまで項垂れていたアロエさんだったが、パッと顔を上げて、
「…そうだね、取られたもんは取り返さなきゃね! …ありがとうねフォリア!」
「はい…行きましょうアロエさん!」
ボクとアロエさんは急いで博物館の外へ出てプラズマ団を探すが、既に見失ってしまった後だった。
ガルダ、追跡出来てるかな…。
もし見つかってしまったら…。
頭に過る嫌な想像を振り払って、これからの事を考えようとした。
その時だった…。
「――――やぁ、アロエ姉さん。久しぶり」
のんびりとした声が聞こえてきてその方を向くと、ぴっちりとした服装の男性が歩いてきた。
「…アーティかい。遊びに来た所悪いんだけどさ、今ちょっと取り込んでて…」
アーティと呼ばれた男性はのんびりとした動作で、ボクらを見回す。
なんか、マイペースではベルと同じくらいかも…。
「んぅん? …なんだか大変な事になってるのかな?
…お祭り…だったら良かったのにね。」
「全くさ。…丁度いい、アンタも手伝っておくれ」
アーティさんはコクンと頷くと、またのんびり口調で言う。
「アロエ姉さんの頼みだからね、断る訳にはいかないよ」