Heroic Legend -序章の黒-

□第15話 ナチュラルボーンママ
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《…オレの事知ったって、今はショック受けるだけだぞ?》

「…どうして?」

《言ったまんまだ》

「何だよ、それ…」

《……ま、悔しかったら、旅を続けてみればいいと思うぜ?》

…全然答えになってないし。

「意味分からない」

《今は分からなくていい…。





………まだお前に嫌われたくないしな…》

「え…?」

ポツリと言った最後の言葉が気になって聞き返すが、それっきりトウヤの意識は引っ込んでしまった…。

嫌われたくない…。

どういう事だ……?


それに、今は分からなくていいって事は、旅を続ければ分かるって事なのかな…。

「…今はキミを信じてみるよ、トウヤ」

自分にも言い聞かせるように、そっと呟く。




しばらくして、副館長さんが戻ってきた。

「いやぁ、お待たせしましたねぇ!」

「いえ、大丈夫ですよ、素敵な石も見られましたから!」

副館長さんは嬉しそうに頭を掻きながら、こんな事を言い出した。

「君は、トレーナーですよね? ここのジムには挑戦しましたか?」

「あ…いいえ、まだです」

「そうですか。ちょっとこっちに来て下さい」

そう言うと、副館長さんは歩き出す。

ボクも慌てて副館長さんについていく。

今いた所からそう離れていないくらいの距離を進んだら、階段があった。

「さぁ、この上がシッポウジムですよ。
この奥に、強くて優しいジムリーダーが待っていますよ」

副館長さんがニコニコと笑いながら付け足す。

「あ、因みに僕の奥さんであり、この博物館の館長をしています!」

エェェッ?!

ごめんなさい、幸薄い独身男性に見えました!

そう反省しながら、副館長さんにお礼を言って、ボクは階段を上がる。

【何や、結局ジム戦するやないか】

ジャルルがボソッと文句を言ったが、その表情は嬉しそうだった。

「じゃ…行くよ」

三匹がボールの中でしっかりと頷くのを確認し、ボクらはジムへと入っていくのであった。












【あぁぁぁ…本ばっかやぁぁ……】

萎えるジャルルの言う通り、ジムの中は本が山積み、山積み、本棚に収まりきれないくらい山積みだった。

そのせいで、カビ臭さがグレードアップしている。

「オッス、未来のチャンピオン!」

ボクがキョロキョロしていたら、入り口にいたおじさんが話し掛けてきた。

あれ、このおじさん……サンヨウにもいたような…。

「あ、オレはこのジムのガイドをしている、ガイドーってんだ」
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