Heroic Legend -序章の黒-

□第14話 誰にも見えないモノ
2ページ/5ページ

Nは期待したような目で、ボクを見る。

「…えーと……」

―――――視線が全く逸らせない。

しどろもどろになりながら、ボクは答えた。

「ボクは…みんなが幸せに暮らせるなら……それで…いい…と、思うよ?」

意味の分からないような答えを口にする。

何故最後が疑問形なのかは置いといて、これが今の自分の気持ちだと思う。

「ふぅん、五分五分だね」

Nが少し残念そうな表情で視線を逸らす。

「五分五分? …何で?」

「五割がボクの期待した答え。
…残りの五割が期待外れな答え。
でも、試してみたくなったよ」

Nはそう言うと、ボールを持ってポケモンを繰り出した。

出てきたのは、マメパトだった。

「なっ…?! どういう事なんだ?!」

「決まっているじゃないか…。
キミのその答え、どれ程のものか試させて貰うよ!」

要するにバトルって事か…。

…受けて立つよ!

「行くよ、ガルダ!」

空中戦での戦いに賭けてガルダを出す。
ガルダの眼は、既に狩人の眼になっていた。

【…奴が獲物か】

「そのネタはもう突っ込まないっての。
ガルダ、来るよ!」

前回と同様に、Nはポケモンに一切の指示を出さず、マメパトの好きに戦わせている。

「ガルダ、空を飛ぶ!」

【…おぅッ!】

ガルダが上昇して相手のマメパトを空へ誘(さそ)う。

マメパトも負けじとガルダについていくが、ここでレベルの差が現れ、ガルダがどんどんとマメパトとの距離を離していく。

マメパトのスピードが最高潮に達し、ボクはそのタイミングを逃さなかった。

「…今だ、急降下!」

「マメパトッ!」

あらかじめスピードを落としていたガルダが、マメパトに向かって急降下。

当然、マメパトは急には止まれもしなければ、避けれもしない。
ガルダの攻撃は有無を言わさずマメパトに当たり、そのまま地面へと叩き落とした。

「…ゴメンね、マメパト」

Nが戦闘不能となったマメパトをボールに戻し、次のポケモンを繰り出した。

【マロンw】

すごくシュールな顔をしたポケモンが出てきた。

図鑑には、オタマロと表示されている。

ボクはガルダを一旦戻し、ジャルルを繰り出す。

「頼むよ、ジャルル」

【…何や、あのおもろい顔のポケモンは?】

【…マロンw】

オタマロはこっちを見てニヤッとしてきたので、それに怒ったジャルルが『グラスミキサー』であっという間に戦闘不能にしてしまった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ