Heroic Legend -序章の黒-

□第13話 辻斬りミジュマルの噂
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ボクは「行こう」とみんなを促す。

ジャルルとガルダは素直にボールに戻ってくれたが、ブリッツだけはボクに背を向けた。

「ブリッツ、戻るよ」

【…フォリアなんか、どっか行っちゃえよっ!】

ブリッツは吐き捨てるように叫ぶと、茂みの奥へと入っていった。

【…フォリア、えぇんか?】

ジャルルが真面目な顔でボクを見る。

「―――いいよ」

【…そっか】

ジャルルもガルダも、何かを察してくれたようで、これ以上は何も言わなかった…。












「…ブリッツ、遅いな……」

ポケセンの宿泊所の部屋で、ボクはベッドに寝転がりながら呟いた。

すぐ帰ってくると思ったのに、一向に帰って来ない…。

……言い過ぎた。

ふと、後悔の念が溢れてくる。

どうして、あんな事を……。

ブリッツは、ボクの為に頑張るって言ってくれたのに…っ!

「ボク…大バカだッ!」

ドンッ!

思い切り部屋の壁を殴った。

「……ジャルル、ガルダ、留守番お願い」

【分かっとる】

【…あぁ】

上着を着て部屋を出る。



ブリッツを探す。

探して、謝らなきゃ……っ!











【酷いよ、フォリア…】

オイラはフォリアと別れた後、一人で修行を続けていた。

野生ポケモンと戦ったり、岩を砕いてみたり…。

だけど、全然強くなった気がしない。

昼間、フォリアに言われた事を思い出す。

『何を焦っているの?』

『…キミは心が弱すぎる』

……オイラ、何で焦っているんだろう?

…あの男の言っていた事を気にしているから?

…ジャルル達に負けたくないから?

………フォリアに捨てられたくないから?

【…オイラ、まだフォリアの事信じていない……】

フォリアは弱くて傷だらけのオイラを…助けてくれた。

あの男から守ってくれた…。

よろしくって、一緒に頑張ろうって……。

なのに、なのに……。



【おい、そこのポカブ】

ふいに声を掛けられ、オイラはその方向を振り向いた――――――……。












「…ハァッ…ハァッ……何処なんだ……ブリッツ……っ!」

ボクはすっかり暗くなった道を、ライトも点けずに走っていた。

「…お願い、……早く見つかって……!」

祈るような気持ちで走っていると、何かがぶつかる音が聴こえてきた。
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