Heroic Legend -序章の黒-
□第13話 辻斬りミジュマルの噂
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ボクは「行こう」とみんなを促す。
ジャルルとガルダは素直にボールに戻ってくれたが、ブリッツだけはボクに背を向けた。
「ブリッツ、戻るよ」
【…フォリアなんか、どっか行っちゃえよっ!】
ブリッツは吐き捨てるように叫ぶと、茂みの奥へと入っていった。
【…フォリア、えぇんか?】
ジャルルが真面目な顔でボクを見る。
「―――いいよ」
【…そっか】
ジャルルもガルダも、何かを察してくれたようで、これ以上は何も言わなかった…。
「…ブリッツ、遅いな……」
ポケセンの宿泊所の部屋で、ボクはベッドに寝転がりながら呟いた。
すぐ帰ってくると思ったのに、一向に帰って来ない…。
……言い過ぎた。
ふと、後悔の念が溢れてくる。
どうして、あんな事を……。
ブリッツは、ボクの為に頑張るって言ってくれたのに…っ!
「ボク…大バカだッ!」
ドンッ!
思い切り部屋の壁を殴った。
「……ジャルル、ガルダ、留守番お願い」
【分かっとる】
【…あぁ】
上着を着て部屋を出る。
ブリッツを探す。
探して、謝らなきゃ……っ!
※
【酷いよ、フォリア…】
オイラはフォリアと別れた後、一人で修行を続けていた。
野生ポケモンと戦ったり、岩を砕いてみたり…。
だけど、全然強くなった気がしない。
昼間、フォリアに言われた事を思い出す。
『何を焦っているの?』
『…キミは心が弱すぎる』
……オイラ、何で焦っているんだろう?
…あの男の言っていた事を気にしているから?
…ジャルル達に負けたくないから?
………フォリアに捨てられたくないから?
【…オイラ、まだフォリアの事信じていない……】
フォリアは弱くて傷だらけのオイラを…助けてくれた。
あの男から守ってくれた…。
よろしくって、一緒に頑張ろうって……。
なのに、なのに……。
【おい、そこのポカブ】
ふいに声を掛けられ、オイラはその方向を振り向いた――――――……。
※
「…ハァッ…ハァッ……何処なんだ……ブリッツ……っ!」
ボクはすっかり暗くなった道を、ライトも点けずに走っていた。
「…お願い、……早く見つかって……!」
祈るような気持ちで走っていると、何かがぶつかる音が聴こえてきた。