Heroic Legend -序章の黒-
□第12話 雨宿りの語り合い
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洞窟探索を終えたボクらは、次のジムがある街『シッポウシティ』に向けて、3番道路を進んでいる―――――――――――――…………
予定だったのに…。
ザァァァァァァ―――――ッ!
洞窟の出入口へ戻ってきた時には、どしゃ降りとも言える雨が降っていた。
「なんでこうなるんだ…」
思わず、ガクッと項垂れる。
【まぁ、元気出しぃや…】
【…その内、良い事あると思うぜ】
ジャルルとガルダはボクの肩に、ポン…と手を置いて慰めてくれた。
【フォリア、空が暗くなってきてる…】
上を見上げていたブリッツが、湿気で嫌そうな顔になる。
そう言われると、今何時だろう……?
疑問に思い、ライブキャスターの時計を見ると、もう夜の6:30を回っていた。
「…どうりで暗い訳だ」
仕方ない、今日はここで野宿するしかなさそうだ…。
早速洞窟の奥へ行き、燃えそうな木の枝を拾い集め、焚き火の準備を始める。
思ったより時間は掛からず、薪(たきぎ)を拾い集める事が出来た。
後はこれらを組んでから、いらない紙を入れて火を点けるだけ。
薪を組んで、カバンの中にあったメモ帳を数枚千切って、薪の間に差し込んだ。
「ブリッツ、吹っ飛ばさない程度な火の粉をお願いね」
【注文ムズい…】
と言いつつも、ちゃんと火の粉をコントロールしながら、弱めに噴き出す。
火の粉は紙に燃え移り、やがて立派な焚き火となった。
「ありがとう、ブリッツ」
【オイラも役に立てて良かったよ】
ブリッツが尻尾を振りながら、焚き火の側に腰掛ける。
ガルダも寒そうにブリッツの横に座った。
ただ一匹、ジャルルだけは天井から垂れてくる水に濡れて、嬉しそうに座っていた。
さて、野宿となると夕飯っぽいの作らないと……。
そんな事を考えていると、視界の端に変わった光景を一瞬だけ捉えたので、その方向を見た。
激しい雨の中、人らしき影がこっちに向かって走ってくる。
その影が近くまで来ると、人だという事が分かった。
その人は洞窟の中に入ると、肩で息をしながら外を見る。
ボクはその人を知っていた。
特徴的な若葉色の長髪、不思議な雰囲気を漂わせ、カラクサタウンでいきなり勝負をしかけてきた不思議系電波青年―――――……。
「…N?」