Heroic Legend -序章の黒-

□第9話 進化と野良ポカブ
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「あ、そういえばさいきんね、ポカブがあそびにくるんだ!」

女の子が思い出したように話題を出してきた。

ポカブって、最初に貰うポケモンだよね…?
チェレンが選んだオレンジ色のコロコロした体のポケモン。

「へぇ、野生のポカブなんだ…」

「ううん、ちがうよ?」

え…てっきり野生かと思ったらトレーナーのか…。

そんな事を考えていたら、女の子の口からとんでもない言葉が飛び出してきた。





「もともとトレーナーさんのだったんだけど、いじめられてにげだしてきたんだって。ひどいでしょー?」



「っ!」

【…何やって?!】

その言葉を聞いて、ボクとジャルルは固まった。

トレーナーがポケモンを虐める…。

絶対にあってはならない事がこんな身近で起きていた。
その事実は少なからず衝撃を受けた。

それも、ムンナの一件からだったから、尚更だった。

「…酷いね」

それだけを吐き出すと、ボクは黙ってしまった。

女の子は心配そうにボクの顔を覗き込む。

「…だいじょーぶ?」

「うん…」

女の子は少し悲しそうな顔をすると保育園の方を見て、急に明るい顔になった。

「あっ、ポカブだぁー!」

その声でボクは女の子と同じ方向を見る。



確かに向こうに見えるのはポカブだ。

しかし、その足取りは頼りない程にふらつき、今にも倒れそうだった。

「ポカブぅっ!」

女の子がポカブの所へ走っていく。
ボクとジャルルもそれに続いた。







ポカブは女の子を見ると、嬉しそうに尻尾をゆっくり振り、おぼつかない足取りで走ろうとする。

が、呆気なく転んでしまった。

「ポカブ、だいじょーぶ?」

女の子はポカブを優しく抱き上げる。
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