Heroic Legend -序章の黒-

□第8話 ムンナを救え
1ページ/10ページ

相性ですごく大変だったけど、それを乗り越えた勝利は、ボクらに少しながらの自信を持たせてくれた。

「はぁ………燃え尽きたぜ、俺もバオップも……」

ポッド君がバオップを抱き抱えて言う。
でも、その顔は全力を出し切った後の清々しい表情をしていた。

「勝てたのは、ジャルル達が諦めないで、踏ん張ってくれたおかげだよ…」

体当たりの後に動けなくなったジャルルの所まで行き、抱き上げる。

「二人共、すごく良い試合だったよ!」

デント君が審判台から降りてきて言った。
と、同時にコーン君が小さなトレーを持ってきた。

上には、赤と緑と青の色が入ったバッジが乗っている。

「見事な試合でした。…このコーン、一手先が見えないバトルに、とても感動致しました」

「よし、じゃあ…フォリア。ジムリーダーに勝った証、『トライバッジ』を受け取れ!」

ボクは言われた通りバッジを受け取った。
手のひら位の小さなバッジだったが、ずっしりと重みを感じる。

いや、そんな気がするだけかもしれないけど……。

「ありがとう…みんな」

ボクは三人にペコリと頭を下げる。

ポッド君がニッと笑いながら、ボクの頭に手を置いて、ポンポンと軽く叩いた。

「俺、こんなにワクワクさせるようなバトルは初めてだったぜ。
こちらこそ、ありがとな!」

こうしてボクの最初のジム戦は、見事とは言えないけど勝利に終わり、ボクはサンヨウジムを後にした。





外へ出ると、ジムの前に見知らぬ女性が立っていた。

見た所、白衣を着て何かの研究員みたいな人だ。

その人はボクに気が付くと、近付いてきた。

「あなたがフォリアちゃん?」

「え? …あ、はい…そうですが…」

「やっぱり? 良かったぁっ! …探してたのよっ!」

女性はボクの手を取ってぶんぶんと振ると離した。

「自己紹介が遅れたわね。アタシはマコモ、ご覧の通り研究家よ。
アララギに頼まれて、あなた達を待っていたのよ」

「アララギ博士とは知り合いなんですか?」

「えぇ、大学からの付き合いよ。アララギはポケモンを研究しているけど、アタシはトレーナーを研究しているの。
トレーナーの在り方について色々と、ね」

やっぱり研究家だから、マコモ博士って呼んだ方が妥当だよね…。

「チェレンとベルには会いましたか?」

「ベルちゃんにはさっき会って、お使いを頼んだわ。
フォリアちゃんも、ベルちゃんと協力してもらえるかしら?」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ