Heroic Legend -序章の黒-
□第7話 ポッドとバオップ
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ジャルルはそのまま吹っ飛ばされる。
「ジャルル、蔓を使って戻るんだ!」
言われた通りに、ジャルルはフィールドの岩に蔓を巻き付ける。
「そのまま反動を使って攻撃だ!」
ジャルルは蔓を緩めずにヨーテリーに狙いを定め、あっという間にヨーテリーとの距離を詰めて、頭突きを食らわした。
「キャウッ!?」
流石に痛かっただろう、ヨーテリーは突然の反撃に悲鳴を上げる。
「なっ…!」
ポッド君が息を呑むのと同時に、ヨーテリーは目を回して倒れた。
「…ヨーテリー戦闘不能、ツタージャの勝ち!」
デント君がバッと左手を上げる。
【ど…どうや……。思い知ったか犬公……】
…とは言え、ジャルルもフラフラだ。
ボクはひとまずジャルルをボールに戻した。
「よくやったねジャルル。…少し休んでて」
【そうしとくわ……】
ボールをしまうと、ガルダの入ったボールを出した。
「頼むよ、ガルダ」
【あぁ、任せろ】
「……行くぞ、ガルダ!」
バシュッと音がして、ガルダが勢い良く飛び立つ。
「…やるじゃん、フォリア」
ポッド君がヨーテリーを戻しながら言う。
ポッド君は一体何を出してくるんだろう………?
自称『炎使い』だから、多分…炎タイプだろうけど……。
「こっちも面白くなってきたぜ!
――――行くぜ、バオップ!」
ポッド君の投げたボールからは、赤い体のポケモンが飛び出してきた。
【へぇ、俺様の出番が来るなんて、久々だぜ】
「バオップ…」
ボクは図鑑を見た。
バオップは炎タイプのポケモン。身軽に動き、森の中に住むポケモン…。
やっぱり炎タイプで来たのか…。
出来れば、ジャルルを出さずに倒さなければ……。
【フォリア、ジャルルを出すとマズイ。
……もしもの時の為の策はあるのか?】
…どうやら、ガルダも同じ事を考えていたようだ。
「……ボクはガルダが負けないって信じているよ。
………でも、もしもの時なら――――…」
【――――…あぁ、分かった】
作戦会議が終わるのを親切に待っていてくれたポッド君は、無邪気な笑みを浮かべると、ビシッとボクらを指差す。
「よぉーし! 俺様達と遊ぼうぜ!」
【…焼き鳥にしてやるぜ、ボーヤ】
…何か、バオップがハードボイルド過ぎるような…。