Heroic Legend -序章の黒-

□第4話 "ボク"と"オレ"
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――――…。

ボクがまだ小さかった頃、ママがシッポウシティの博物館に連れていってくれたんだ。

初めて見る化石や古代の文献は、幼いボクにとっては魅力的で面白かった。

「ママー、ひとりでみてまわってもいい?」

「えぇ、でも遠くへ行っちゃ駄目よ」

「はぁーいっ!」

それから、一人であっちこっち見て回って、ボクは興味深い石を見つけた。

…黒くて、ツルツルしただけの石だったけど、それがとても美しく…綺麗で、…少し寂しい感じがした。

「きれい……」

思わず石に触れてしまった。

その時、ボクの中に『何か』が生まれたような気がした。

ボクは少し怖くなって、ママの所に戻った…。




それから数日が経った。
ボクはいつも通り、チェレンとベルと遊ぼうと、近くの公園に行こうとしたら、いつもより早く来すぎて二人を待っていたんだ。

すると、いきなり口を塞がれて身動きがとれなくなったんだ。
必死に逃れようと暴れるけど…、

「〜〜〜ッ!」

「大人しくしろ、このガキ!」

とか言われて、地面に押さえつけられたんだ。

その時だったんだ。

声が聞こえたのは……。

《大丈夫だ、オレが何とかする》

「え…だれ…?」

《オレはお前の味方だ》

「み…か…た……?」

《あぁ、心配するな。…だから……オレに『替われ』》

その時、ボクは宙に浮くような感覚を感じた。

「へっ、急に大人しくなりやがって…。最初からそうしていれば―――」

「――……なせ」

「あぁ?」

「…離せってんだよ、このバカが」

とても、不思議で怖い感覚だった。
だって、自分の身体がボク以外の意思で動いていたから…。

ボクの身体はそこにいるのに、ボクはここで見ているだけ…。

傍観者のような気分だった。

『ボク』が何をしていたのか、最初から最後まで、映画のスクリーンを観ているような感覚で、記憶に焼き付いた……。

「―――…わぁぁんっ……!」

気が付けばその感覚が戻っていて、でもその間の記憶ははっきりしていた。

ボクはあまりの怖さに泣いた――――…。
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