Heroic Legend -序章の黒-

□第4話 "ボク"と"オレ"
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ジャルルの回復を終えて、ボクとチェレンは食堂でまったりしていたベルに会った。

…ベル、やっぱ移動式ポケセン開くのかな。
明らかに二桁位の傷薬が袋の中に入っている。

「ベル」

ボクは声を掛けた。
ベルはこちらに気付き、ニコッと笑いながら、ボクらを席へ招く。

ついでだから、ベルにも話さないとな…。

席へ着くと、チェレンが最初に切り出した。

「さて、フォリア。…話してくれないか?君の秘密を」

「いや、秘密って程じゃないんだけどな」

「うーん、話がよく分からないよ…。二人共、何があったの?」

ボクはさっきまでの出来事を話した。

ベルと別れてから、プラズマ団という組織の演説を聞いた事。

Nという電波発言をする人にバトルを仕掛けられた事。

そして、その中でボクの雰囲気が変わった事…。

チェレンの助け船を借りながら全部話し終えた時、ベルは凄くポカーンとした表情をしていた。

「……ベル?」

心配になって声を掛けると、ベルはハッとした顔になる。

「ふぇ? …あっ、ゴメンね、固まっちゃって…」

「ううん、平気」

「フォリア。
話したくないなら、話さなくても大丈夫だけど」

チェレンが心配そうにボクを見る。

「ううん、話す。別に大丈夫だもの」

「そうか…。無理はするなよ」

ボクは静かに頷くと、話し始めた。

「いきなり言うけど、ボク…二重人格者なんだ」

……うわぁ、一気に静かになっちゃったよ…。

気にしないようにして話を続ける。

「ボクのもう一つの人格、名前は『トウヤ』って言うんだ」

「え、トウヤって……」

チェレンが何かを思い当たるように言う。

「うん。トウヤは、…ボクの双子の弟……『だった』子だよ」

「『だった』って?」

「…トウヤは生まれつき身体が弱くて、生後数ヶ月で…ね」

「ご、ごめんフォリア…」

ベルがしゅんと項垂れる。

「気にしてないと言えば嘘になるけど、大丈夫だよベル」

「うん…」

ベルはまだ落ち込み気味だったが、ボクは話を続ける事にした。

「それを聞かされた時には、『ある事』があった時だったの…」

そう……それは何年も前に遡(さかのぼ)る話になるんだ―――――……。
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