Heroic Legend -序章の黒-

□第2話 最初の一歩
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部屋を散らかした事を謝りに、ボクらはママのいる一階へ降りていった。

「ママ…」

「あ、フォリア」

ママは嬉しそうにボクの方へ近付いてきた。

「ポケモンバトルって、凄く賑やかなのね!
下までポケモンの鳴き声が聞こえてきたわよ」

…怒っていない…だと?

何でだろうと思った。
昔トレーナーだったママなら、

「バトルは外で」

とか、言うのかと予想してたのに……。

ボクは少し拍子抜けしてしまった。

「…騒がしくして、すみませんでした」

チェレンがママにペコリと頭を下げる。
チェレンにつられて、ベルも頭を下げた。

「あの…お片付け……」

ベルがぎこちなく次のママの言葉を待っている。

しかし、当の本人は――――、

「片付け? あぁ、それなら私がやっておくから、良いの良いの!」

…ママを少しだけお人好しと思ってしまう自分がいた。

「それより、あなた達…、アララギ博士にお礼を行ってきなさい。
ポケモンを貰ったんだから」

【えぇっ!? あのお調子モンの所へ行くんかっ?!
嫌や、ウチは行かへんからな!】

モンスターボールの中で、ツタージャが文句を言いながら暴れている…。

よっぽど箱詰めが嫌だったんだな…。

「じゃ、行ってきます」

チェレンが家を出る。
続いてベル。

「あ、あたし一旦家に帰らなきゃ…っ」

と言って出ていく。

「行ってきまーす」

ママに挨拶をして、ボクも外に出た。

ポロロロ……。

マメパト達が勢いよく飛んでいく。
普通の人達から見たら、ごく当たり前な風景……。

ボクからすると―――、

【昨日な、ミネズミが…でさ――…】

【サンヨウのバスラオが――…】

【ヤグルマの森でクルミルが沢山いて―――…】

毎日のように、マメパト達が噂話とかしているから、何でもない時でも、かなり面白いと思う。

【なぁ、フォリア…だったかいな?
ベルって奴の様子、何か気になるんねん】

「あー…、ベルのお父さんはね、ベルの事をとっても可愛がってるの」

【ほぉー、そらえぇ話やな。
…で、それと何の関係があるん?】

ボクは、はぁ、と溜め息をついてから、訳を話す。

「トレーナーはポケモンを貰って、初めて旅に出られるでしょ?」

【せやな。生身で草むらに行ったら危ないもんなぁ…】

「だから、旅に出たがってるベルを危険な事に巻き込みたくない為に、大反対してるんだって」

【…そら、あれか?世に言う『子離れ』出来てへんっちゅう事か?】
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