Heroic Legend -序章の黒-
□第1話 出会いは旅の始まり
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――――……。
「ベールーっ! いるー?!」
フォリアはベルの家の前で、彼女を呼んでみた。
すると、バタバタと急がしそうな足音と、「きゃあっ!?」と言う悲鳴と共に、何かが倒れる音がした。
その1分後に、ゆっくりとドアが開く。
「いたたぁ…。あ、ゴメンねフォリア…出るの遅くなって…っ!」
「いや、ボクもゴメン、何か慌てさせちゃって……」
金色のふわふわした髪型、おっとりとした緑色の目の少女が、今しがたどこかにぶつけた額を擦りながらフォリアに謝った。
彼女の名前はベル。
フォリアの幼馴染みの一人で、天然だが芯はしっかりとした少女だ。
「ねぇフォリア、どうしたの? ジャージのままだし………」
ベルはいつもののんびりとした口調で聞いてくる。
「あのね、実は―――…」
ベルに今朝の箱の事を話す。
すると、ベルもチェレンと同じようにパァッと目をキラキラさせながら、喜んだ。
「ホント?! ついに来たんだね、ポケモンを貰える日が!」
「うん、10時に家に集合。あ、そうそう……。
チェレンが『遅刻するな』って言ってた」
『遅刻するな』の部分をチェレンの物真似をしながら言ってみると、ベルが面白そうに手を叩いて笑う。
「アハハッ、フォリア上手〜!
じゃ、10時にはちゃんと行くね」
「うん、それじゃ…」
ベルに別れを告げて、フォリアは自宅に戻った。
――――……。
「ただいまー」
自宅に帰ると、母が大きめの包みを持って迎えてくれた。
「お帰り、フォリア。
……はい、これ」
と言って、包みをフォリアに渡す。
「………? 何だろこれ?」
フォリアが不思議に思って包みを開くと、真新しい服と鞄が入っていた。