Heroic Legend -序章の黒-

□第1話 出会いは旅の始まり
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フォリアはハッとして、ベッドから飛び降りる。

「そうだ、チェレンとベルに教えなきゃ……!」

そう言うと、パジャマ代わりのジャージの格好のまま、家を飛び出していった。

「あ、ちょっとフォリアっ!?」

母が呼び止めようとするが、すでにフォリアは家を飛び出した後。

「って、行っちゃったか……」

と、呆れ半分に呟きながら、フォリアの寝た後のベッドのシーツと布団を直す。

「思い出しちゃうなぁ、初めて貰ったポケモン…」





――――……。

「チェーレーン! いたら3分以内に出てきてよー!
……3分間待ってやるw」

明らかに空中要塞の映画に出てくる悪役の真似をしてみたフォリアだった。


ガチャ……。


10秒もしない内にドアが開く。

「わ、早い……」

ドアの向こうから出てきたのは、黒の短髪に赤いノウズの眼鏡を掛けた少年だった。

彼の名前はチェレン。フォリアの幼馴染みの一人である。

チェレンは不機嫌な顔をフォリアに向け、淡々とした口調で喋り出した。

「何、朝っぱらから? メンドーな頼み事ならお断りだよ。
……てか、ジャージのままで来る? 普通」

「まぁまぁ、気にしない気にしない」

フォリアはニコーっと笑うと、今朝届いた箱の事を話した。

例の小包の話を聞いた途端、チェレンはパァッと顔を輝かせた。

「それ本当?!」

「ボクはしょうもない嘘はつかないよ、と言うかつけない」

「ベルには言った?」

「ううん、これから行くつもり」

「そうか…。じゃ、僕も支度(したく)したらすぐに行くよ」

「うん、待ってる」

「……ストップ、フォリア」

じゃ、と手を振りながら去ろうとするフォリアをチェレンが呼び止めた。

「何? 人を『ストップ温暖化』みたいな呼び止め方をして……」

「ベルに伝えてくれ、遅刻するなって」

「りょーかいっす、チェレン参謀長」

「誰が参謀長だよ」

フォリアは敬礼の真似をすると、テケテケとベルの家へ走っていった。
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