Heroic Legend -間章の灰-

□第45話 痛みと和解
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「覚悟は決まったかい?」

Nの手を借りながら何とかベッドまで辿り着き、腰を落ち着けてからそう質問される。

ボクは何も言わず頷く。

Nは何を言う訳でもなく、

「そうか」
と返しただけだった。


そして、おもむろにズボンのポケットに手を突っ込み、中から見慣れたモンスターボールを取り出す。

ボールはニュートラル……すなわち持ち運ぶ際にサイズを縮小させた状態で、五つある。

Nは、それをボクに差し出すように前に出した。


「これはキミが持っていた方がいい」

それらを受け取ると、中にはボールに合わせて小さくなった、
"仲間‐ポケモン‐"達がいた。


「ジャルル…みんな…!」

「彼らは解放されるより、キミといる事を望んだ。
それだけ、キミを好いているという事なんだね」

Nは柔らかく笑うと、自分の肩に乗っているキバゴを抱き上げた。

「この数日間、彼らと沢山話した。
皆はジム戦や旅がしたいと言っていたけど、キミがそれを否定するなら甘んじて受け入れるだけだって」

ボクはNの話を聞きながら、両手に収まった小さなボールを見つめる。

…なんだ、ボクも皆も…同じ事を考えていたんだ。

なら話が早い…。


「…まだ、プラズマ団と戦うかは決まってないけど、皆が強くなりたいと願うなら…ボクはそれに応える。
皆と一緒なら、倒れても…また起き上がれる気がするから…」


「六割だね」

「…何が?」

「期待していた回答」

「やったね。観覧車の時より一割増えたじゃん」

「でもまだ甘い」

キバゴをボクの傍に降ろしながら、Nは言った。






「ボクは伝説のポケモンとトモダチになり、現イッシュチャンピオン・アデクを下す。
…そして、世界中の人間達にポケモンの解放を命じる。
プラズマ団の王として…英雄としてポケモンの解放を望む者として」

「…」
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